子どもとの時間は戻ってこない
一将さん
なぜ仕事をするのかって考えると、僕は家族を守るためなんですよ。だから、仕事のせいで家族と一緒にいられないのはおかしい。 会社に大事なものを奪われない働き方をしたいと思っています。
こえりさん
これからはどんどん、私たちのような考え方の人が増えていくと思います。 だから企業も、自分や家族を大切にしながら働けるような環境を作っていかないと立ち行かなくなるんじゃないでしょうか。
──最後に、取得を迷っている人に伝えたいことはありますか?
謙太さん
迷っている人は、取得経験のある人にぜひ相談してほしいです。経験のない人に相談しても、前向きな話は出てきづらいかもしれません。 僕にとって育休は、子どもたちの成長を見られたのはもちろんよかったけど、「どう生きたいのか」を考えるいい機会になりました。家族と一緒にいる時間が大切だと実感したし、働き方や子育てに対して考えが深まりましたね。 あと、取得するなら「妻に言われて」ではなく、自分で決めた方がいいと思います。
一将さん
僕も、軽いノリで取るくらいなら取らない方がいいと思います。 自分は家事ができるのか?覚悟はあるのか?と自問自答してほしいです。ただのお荷物になってしまう可能性がありますから。自分の休みじゃなくて家族のための時間なので。
こえりさん
育休を取る時に、お金や復帰後の不安ってみんなあると思うんですよ。でも、大事なものが何なのかをもう一度考えてほしいです。 会社はあなたの人生の責任をとってはくれないし、自分の人生は自分でつくっていくしかない。どう生きたいのか、決断の邪魔をしているものは他人の物差しなんじゃないか、と見つめ直してみたらいいんじゃないでしょうか。
まりえさん
お金は後から稼げばいいけど、限りある子どもとの時間は返ってきません。 後悔するかもしれないと思うなら、取ってほしいなと思います。
状況として、長期の育休取得が難しい人はもちろんいると思います。 でもひとりひとりが少しずつ働き方や考え方を見直すことで、大切なものを大切にしやすい社会になるのではないかと感じました。
取材・文・写真/小西和香