「風邪を早く治したくて」と受診される患者さんは多いですが、実は〝風邪を治す薬〟はありません。最近では、効かない抗菌剤を使うことで耐性菌が増えていることも問題になっています。風邪にはどんな症状があり、どういう経過をたどって治っていくか、正しく理解していますか? 当たり前の病気だからこそ知っておきたい「風邪」について解説します。

 

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「風邪」とはどういう病気?


「風邪」と、鼻からのどまでの上気道に、急性の炎症を起こすこと。「風邪」のほか、「かぜ症候群」「感冒」などとも呼ばれ、医学的には「急性気道感染症」「急性上気道炎」といいます。 風邪になると、鼻汁や鼻閉、くしゃみ、咽頭痛、咳といったさまざまな症状がでてきますが、原因となるのは、異なる種類の多数のウイルスです。 代表的な風邪のウイルスとしては、以下のものがあります。 ●ライノウイルス(30~50%)


●コロナウイルス(10~15%)


●RSウイルス(5%) このほか、よく耳にする「アデノウイルス」も風邪の原因ウイルスのひとつです。