「下肢静脈瘤」という言葉を聞いたことはありますか? 足の血管が浮いている症状がみられる場合には、「下肢静脈瘤」の可能性があります。立ち仕事やデスクワークで浮腫みやすい、経産婦の方は要注意。「いつか治る」と放置しがちな下肢静脈瘤の症状や原因について、詳しく紹介します。

 

 

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「下肢静脈瘤」ってなに?


 

「下肢静脈瘤」は、下肢の表在静脈

(皮脂を走行する静脈)が拡張したり、蛇行する疾患のことをいいます。「瘤」とは言いますが、必ずしもコブ状とはかぎりません。 全身の血液は心臓から動脈を通って動脈血が供給され、静脈血となって静脈を通り心臓へ帰っていきます。 腹部や下肢など、心臓より下に供給された血液が静脈血として心臓に戻る場合には、重力に逆らって筋肉が血を押し戻します。 その際に逆流しないよう静脈弁がついているのですが、弁機能が悪くなったり、筋肉の押し戻す力が低下したりすると、静脈血の逆流が起こって、血管に瘤ができたり、血管の変形が起きたりしてしまうのです。 下肢静脈瘤自体は命に関わる病ではありませんが、自然に治ることはなく、見た目が悪いことを気にされる方がとても多い病気です。 「日常生活での不便が特にない」「放っておいても改善すると思った」などの理由から、受診するまでに1年以上かかっている方が68.6%もいるのが現状です(※1)

 

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下肢静脈瘤は40歳以上の女性に多く、年齢とともに増加するといわれています。立ち仕事の人がなりやすく、特に10時間以上立っていて、あまり動かない仕事をしている方の場合、重症化しやすい傾向にあります。 このほか、肥満、便秘、高齢者、出産歴も下肢静脈瘤のリスクとなります。特に、妊娠した女性の1割程度で下肢静脈瘤ができるといわれています。 これは、妊娠により血液量が多くなることや、子宮による骨盤静脈の圧迫や妊娠中のホルモンバランスと関連しており、妊娠を重ねる毎に下肢静脈瘤になる確率が高くなります。

 

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