虐待死横ばいの日本 予期しない妊娠の影響も

吉備国際大学保健医療福祉学部の高橋睦子教授

パーヴィライネン教授の報告を受け、吉備国際大学保健医療福祉学部の高橋睦子教授が解説を行いました。

 

高橋教授は、フィンランドでも虐待などにより緊急に一時保護された子どもの数はティーンエイジャーを中心に増える傾向があると指摘。「フィンランドも天国ではなく、日本と同じような課題を抱えている」と話しました。

 

ただ一方で、フィンランドで暴力・事故による乳児死亡は近年ほとんど0人。1944年のネウボラ制度化、1984年の子どもへの体罰禁止法律化などを経て急激に減少したと説明しました。

 

厚生労働省によると、日本で2017年度に虐待死した子どもの数は52人で、ここ数年横ばいで推移。心中で死亡した子どもも同年度に13人いました。

 

高橋教授は「日本では、子どもの命そのものが尊重されていない面があります」と指摘。0歳児の割合が多いことから予期しない妊娠が絡んでいると説明しました。

 

予期しない妊娠については、パーヴィライネン教授とともに来日したフィンランド人専門家らから「フィンランドでは小学校から性教育が始まる」「望まない妊娠について、中学高校では秘密を守りながら学校保健師に相談できる体制があり、生徒たちに周知されている」という声が上がりました。

 

避妊具を無料配布する自治体も増えているといい、妊婦が1人で抱え込まないような体制や、知識を得ることで望まない妊娠を避ける取り組みが進んでいるようです。