愛知県豊田市の母親が三つ子の次男を床にたたきつけて死なせてしまった事件をきっかけに、双子や三つ子など「多胎児」の育児の過酷さに注目が集まっています。

 

「双子の休みない育児…支援の充実を願う親の切実な声」では、双子の子育てをしているお母さんたちの声を取り上げました。

 

こうした状況を、社会はどう支えていけば良いのでしょうか。

 

今回は、双子を育てる親たちでつくる団体「ツインズエイド」が多胎児を妊娠中の家族向けに開いた教室を取材しました。

 

どういった活動を、どういう思いで行っているのでしょうか。活動への思いや参加者の声などを聞いてきました!

  

双子の子育て知る機会を。妊娠中から仲間とつながる

教室であいさつするツインズエイド代表の稲垣さん
「プレファミリー教室」で参加者にあいさつする稲垣さん

 

「ツインズエイド」が7月、東京都北区で多胎児の出産を控える家族に向けて開いた「ふたごちゃん&みつごちゃんのためのプレファミリー教室」。

 

妊娠中の過ごし方や、出産前に準備しておいた方がいいことなど、具体的な情報を提供し、双子を子育て中のお母さんお父さんたちから話を聞き、参加者同士が悩みを共有する交流会も行いました。

 

代表を務めるのは、3歳の双子の男の子を育てるフリーアナウンサーの稲垣智衣さん。ツインズエイドを立ち上げたのは、自分自身の体験がきっかけでした。

 

正産期に入る前、34週で破水して出産。多胎妊娠では早産のリスクが上がるということを知らなかったため、突然小さくなった自分のお腹を見て、「なんでこんなことに…」と愕然としたそうです。

 

自宅に帰った後も相次ぐ授乳におむつ替えなどで睡眠時間は1時間ほど。手伝いに来ていた稲垣さんの母親も、体調を崩してしまいます。

 

「夫は仕事もあるし、やっぱり私のやらなければいけないことが多くなります。朝起きて、気付いたら夜。出かけられないし、3か月くらいは青空を見た記憶がありません」

 

さらに、歩き始めなどの成長がゆっくりだった子どもたちについて、「私がきちんと成長を促せていないからかも」と不安を抱えていたといいます。

 

そうした経験を経て「子どもが生まれる前から多胎妊娠・子育てについての正しい知識を得る機会があって、支え合える仲間がいたら、あんなに悩まなくても済んだのではないか」と感じるようになり、2018年から現在の活動を始めました。