■外貨建て保険でクレームの嵐! その理由とは?
一時期は、非常に人気のあった外貨建て保険。しかし近年では、「多数のクレームが寄せられている」というネガティブな理由で、世間の話題となるケースが増えているようです。ではいったいなぜ、外貨建て保険には、このようにクレームが殺到する事態になってしまったのでしょうか。 先ほども申し上げたとおり、外貨建て保険は、外貨ベースで保険金の支払いや受け取りをするという特徴を持っています。しかし日本国内で外貨を購入したり売却したりする際には、為替相場の影響を受けることになります。 例えば月々の保険料の支払いが50ドルであった場合、1ドルが100円なら5,000円で済みますが、1ドル110円になれば5,500円の支払いになります。一方で1ドルが90円になれば、4,500円まで安くなります。 一見するとそれほど大きな差には思えないかもしれませんが、保険金を受け取るタイミングになると、より深刻な状況が生まれてしまう可能性があります。「5万ドル」という保険金が外貨ベースで設定されていたとしたら、為替相場により、それが500万円になることもあれば、550万円になることもあり、さらに450万円にまで目減りしてしまう可能性もあるのです。 そもそも外貨建て保険の人気が高まったのは、日本の保険料よりも安く、手厚い保障が受けられるためでした。「日本の保険に加入するよりも、儲かる」ということをアピールされ、加入した方も少なくなかったのです。 確かに外貨ベースで考えれば、支払う保険料と受け取る保険金のバランスは、日本の保険よりもメリットが大きいと言えるのかもしれません。しかし現実には、円とドルとの相場バランスが関連してくるものであり、保険金を受け取るタイミングによっては、元本割れを引き起こしてしまうようなケースも存在しています。日本円ベースで考えたときには、受け取る保険金額が保障されていないという点が、この外貨建て保険の大きな特徴の一つなのです。 もちろん契約時に、こうした特徴について正しく理解した上で、「分散投資のため」にあえて外貨建て保険を選択する方も少なくありません。しかし一方で、リスクやデメリットをよく理解できていない状態のまま、メリットだけをアピールされ、契約してしまった方も少なくないと考えられます。 いざ保険金が必要になった際に、「こんなはずじゃなかった!」という事態に陥り、クレームが殺到している……というわけですね。
■外貨建て保険にかかるコストについても要チェック!
円建て保険の魅力度が低くなっている今、相対的に外貨建て保険の魅力がアピールされる機会も多くなってきています。外貨建て保険について積極的に検討する場合、為替リスクのほかに、もう一つ考えておかなければならないのが、各種手数料に関する情報です。 外貨建て保険は、支払った保険料の全てが、運用に回されるわけではありません。外貨建て保険の契約時には、初期費用として一定の割合が引かれてしまうケースも多いですし、円からドルへと換算するために、手数料も必要となります。またこのほかにも、保障や運用のためにコストがかかり、支払った保険料から引かれるケースも少なくありません。 つまり外貨建て保険で元本割れを防ぐためには、これらのコストをカバーし、それ以上に儲けを出す必要があるのです。コストが大きくなればなるほど、外貨建て保険で得をするのが難しいことが、お分かりいただけるのではないでしょうか。