自然の中で子どもが得る学び
―失敗を経て知る「命の大切さ」と「生き物への思いやり」―
都立野山北・六道山公園では、自然散策や虫捕りなど、「5歳〜小学校低学年」、「小学校中学年以上」の年齢別の自然プログラムを定期的に開催しています。
「中には、『虫を捕まえたことがない』という子もいました。初めは力加減がわからず、虫を捕まえる際に潰してしまうこともありましたが、他の子の様子を見るうちに、上手に捕まえられるようになりましたよ」と丹さん。
虫を潰してしまって「なぜ?」と疑問に思うこと、摘んだ草花が手の中で次第にしおれていくのを見て「せっかくきれいに咲いていたのに」と悲しい気持ちを持つこと、そして「どうしたら元気になる?」と考えるなど、自然の中では「命」を認識する瞬間が多々あり、同時に生き物への思いやりを学ぶことにもつながると話します。
「自分が虫や植物に詳しくないので、子どもに『これなに?』と聞かれても答えられない、と不安に思う保護者の方もいます。でも詳しくなる必要はなくて、むしろ一緒に昆虫や草花を探して、観察してみるという時間の共有が大切だと思っています。特徴をじっくり観察して、帰宅後に図鑑で調べてもいいですよね」
ススキの葉は固く鋭いから切れやすい、トゲのある木や植物もある、自然の中の道は凹凸があって歩きにくいなど、自然の中では時には怪我をすることもあります。しかし子どもたちは、その経験を経て「何に気をつけたら良いのか」を知ることができ、外の世界に必要以上に怖がらなくなっていくようだと、丹さんは感じているそうです。
「大人からの注意喚起も必要ですが、子どもの好奇心に任せて見守ってあげることも大切ですね」
5歳のお子さんの母でもある丹さん。子どもと外で遊ぶ時は着替えを持っていき「好きなだけ汚していいよ」と促すと、泥の中に体を滑り込ませて文字通り泥だらけになって遊ぶそうです。
触れて初めて知る、土の匂いや温度。家や学校では得難い学びの瞬間です。自然の中での遊びは子どもたちの感性を豊かにし、自発的に行動する力も培われていくのでしょう。
子どもの体調や天気の変化、熱中症や日射病に気をつけて、一緒に外遊びを楽しんでみてはいかがでしょうか。