最終回だからこそお勧めしたいこの映画
突然ですが、CHANTO読者のみなさんは「何度観ても飽きない」とか「何かある度に観てしまう」という映画はありますか? 僕は映画コメンテーターを名乗るくらいですから、その手の映画がたくさんあります。「内容がわかっている同じ映画を何度も観るなんて退屈!」という意見も当然あるでしょう。ごもっともです。
けれど、同じシーンでいつも泣いちゃうし、毎回大満足!という映画があるってとっても楽しいんです。観るたびに発見だってあります。今回はそんな、僕の映画史の中でリピート率No.1のこの映画を紹介したいと思います。
なぜなら…このコラムは今回で最終回でございます。これまで、たくさんの映画をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。少しでもママさんの映画欲を満たせていたら幸いでございます。
さあ、それでは最終回にぜひご紹介したい映画は、この1本!
<ひとつ前の作品に戻る> 忙しい子育て中、もし、自由だったあの頃を懐かしく感じてしまうなら
赤ペン瀧川のママに捧ぐ映画
最終回 スティーブン・ダルドリー監督作品
『リトル・ダンサー』
以前、このコラムでもご紹介した「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」という作品を撮ったスティーブン・ダルドリー監督の長編デビュー作が「リトル・ダンサー」です。デビュー作にも関わらず、その年のアカデミー賞の監督賞にノミネートされるなど今作で様々な賞を受賞しました。そりゃもう大旋風を巻き起こしたと言っても過言ではありません。500万ドルの製作費で1億ドル超えの興行収入を叩き出すという快挙を成し遂げました。その後も撮る映画は全て高い評価を得ている、近年稀にみる“はずさない監督”です。
主人公は11歳の少年・ビリー君。母親は病気で他界、父親と兄は炭鉱夫として働いていたんですが労働環境を良くしようと会社相手にストライキを決行中=実質、無職。そして、同居している祖母は軽度の認知症を患っており、ビリー君が面倒をみています。という、最初からかなりハードな家庭環境でのスタートです。そんな貧乏な暮らしにも関わらず、父親はビリー君にボクシングを習わせています。「男ならボクシング!」というかなりマッチョな思考を持つ父親。レッスン料もしっかり払って一生懸命にボクシングに通わせます。しかし、ビリー君は…全然やる気がありません。ガリガリだしすごい弱いし、ボクシングとか全然やりたくない!と思っています。
▲女子しかいないちびっこバレエダンサーに混ざってレッスンする主人公・ビリー君。
ボクシングの練習の時よりイキイキして、手のポジションもいい感じ。
そんなある日、ボクシングの練習中にバレエのレッスンを目撃したビリー君はひょんな事からバレエのレッスンに合流します。あれ…ボクシングよりも楽しくない…?ビリー君はボクシングの練習をすると父親に言いつつバレエのレッスンに通い始めます。しばらくレッスンを重ねた時、バレエの先生は言いました。「ロイヤルバレエアカデミーを受験してみない?」と。