細部小児科クリニック院長の細部千晴先生

気温が上がってくると、心配になるのが熱中症です。重症の場合は死に至ることもあり、きちんと予防し、もし症状が現れたら適切に対応することが重要です。 小さな子どもは自分で不調を訴えることが難しいので、お母さんお父さんがしっかり知識を持っておきたいですよね。

 

日本小児科学会小児科専門医で細部小児科クリニック院長の細部千晴先生に、外に出る機会が多くなる生後半年から2歳ごろを中心とした乳幼児に関する注意事項を伺いました。

  

熱中症とは


体温が上がったり、体の中の水分・塩分量が崩れたりしたことにより、頭痛やめまい、体温の上昇など体の様々な不調を起こす病気です。

  

どんな症状が出るの?


熱中症は、それまで元気だった子どもが急変するという特徴があります。

 

いつもと様子が違うと「疲れてるのかな」「眠いのかな」「わがままを言っている」などと思いがちですが、そこに「熱中症かもしれない」という選択肢を持っておくことが大切です。

 

熱中症になると子どもたちにどのような変化が起こるのか把握し、早めに対処できるようにしておきましょう。

 

0歳児の特徴

寝ている時間が長いため、「眠いのかな?」と勘違いしてしまう可能性があります。 そのため、ぐったりする前に気付くことが重要です。

 

  • 機嫌が悪い
  • 泣いてばかりいる
  • おっぱいを吸ったままなかなか離さない
  • おしっこが半日くらい出ていない(朝出て、その後夕方になっても出ていない、など)

 

1-2歳児の特徴

0歳児よりも話したり動いたりするようになっているため、元気がなくなった時が要注意です。

 

  • しゃべらなくなる。口数が少ない
  • ボーっとしている
  • おしっこが半日くらい出ていない

 

熱中症になってしまったら


涼しい部屋に移動する

冷房が効いている部屋で休むだけで、症状が治まることもあります。

 

経口補水液を飲ませる

「赤ちゃん用イオン水」として販売されており、血液と同じ濃さなので吸収しやすくなっています。ドラッグストアなどで購入できるために家に常備しておくと便利です。

 

自宅で作る場合は、湯冷まし1ℓに砂糖40gと塩3gを混ぜるとできあがり。さらにレモンやグレープフルーツなどの果汁を絞ると飲みやすくなります。

 ※ジュースや牛乳、乳酸菌飲料などは避けましょう。スポーツドリンクを薄めて飲ませるのもNGです。

 

水に濡らしたタオルで体を拭く

身体を冷やす効果があります。

 

服を緩めて風通しを良くする

風が通ることで、汗が乾き、体の表面の温度が下がります。

 

こんな時は病院へ


意識障害が出てきた場合は、すぐに病院へ行きましょう。 ボーっとしていて、あやしたりつねったりしても反応が鈍い・反応がない状態は、意識障害が出始めています。 寝ていると思ったら意識がなくなっていたというケースもあるので、寝てばかりいるという場合もコミュニケーションを取って確認しましょう。