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以前からあった年金不安の問題に、一層拍車をかけるニュースが舞い込んできました。 というのも、今年5月に金融庁金融審議会がまとめた報告書の中に、「人生100年時代」を見据えた資産形成を促す文言があり、それによると95歳まで生きるためには、夫婦で約2千万円の金融資産の取り崩しが必要になる、との試算を示したからです。 つまりは今後、「もう年金だけで暮らすことはできない」と国が宣言したようなものです。 後日政府が「不適切」との釈明をしましたが、いずれにせよ年金のみでは不安になるような将来はやってくるとの見方は以前より多くあったものです。 一説によると2千万円どころか、1億円は必要とまで言われましたが…媒体により算定根拠はまちまちですので、どの金額も鵜呑みにしないでわが家ならいくら、という感覚を持ってください。 「これまでずっと高い社会保険料を払ってきたのに…」とやるせない気持ちはわからなくもないですが、ほころびが出始めているのもまた事実。 ここは割り切って、少しずつでも自助努力による老後の生活資金を確保することについて考えてみましょう。


■毎月いくら貯金できるかを考えてみる

当たり前のことかもしれませんが、今何歳かによって目標額への到達期間は異なります。 例えば今40歳だった場合、定年が60歳と仮定すれば働ける期間はあと20年となります。 その際には、「定年延長の可能性」と「再雇用による収入の減額」を注意しておかなければなりません。 最近では多くの企業が、65歳での年金支給に合わせて定年を繰り下げる準備を始めています。 また、今後の動向次第では、いわゆる「働き方改革」の一環として、70歳まで働けるという企業も出てくるかもしれません。 ただし、60歳でいったん定年となり、65歳~70歳まで再雇用をするという企業がそのほとんどを占めます。 そこで頭に入れておきたいのが「現役世代と同じ収入を得ることは難しい」という点です。 もちろん人によっても異なりますが、通常は60歳までの時よりも条件の悪い待遇で残りの期間を働くことになるようです。 とすれば、60歳までに大部分の貯蓄を完了しておいて、60歳以降はその貯蓄を維持、取り崩すとしても最小限にというイメージにしておくとよいかもしれません。 いずれにせよ、もらえる年金もさることながら、受け取れる給与も以前の水準には届かない可能性があることだけは心のどこかにとどめておきましょう。