産後ケア施設との違い「赤ちゃんと離れて休息を」

── 生後何か月頃の赤ちゃんを育てている方からの依頼が多いのでしょうか。 

 

城野さん:産後の睡眠不足が蓄積してくる生後1〜3か月頃に一気にご依頼が増えます。赤ちゃんが眠たいのにうまく眠れない、「寝ぐずりが始まって寝かしつけに苦労している」 とか、赤ちゃんが生まれて、上のきょうだいが精神的に不安定になってきたので、「上の子としっかり向き合って一緒に寝る時間を作りたい」というご依頼もあります。 

 

始めたばかりの頃はあまり認知されていなかったのですが、ご依頼数は増えてきています。22時~朝7時の時間帯を希望される方がもっとも多く、「同じシッターさんに週2~3回来てほしい」と、定期的な利用をされる方もいます。訪問地域は、東京、神奈川、 千葉、埼玉、大阪と福岡の一部のエリアですが、将来的には拡大していく予定です。

 

育児に疲れた母親
産後、がんばりすぎてしまった結果、疲弊してしまう母親が多いそう 

── 身の回りのお世話をしてもらいながら、赤ちゃんと母親がリラックスして過ごせる産後ケア施設が増えていて、費用の助成を受けられる自治体もあります。自宅にシッターさんが来てくれるメリットはなんですか。 

 

城野さん:産後ケア施設は自宅から離れた環境リフレッシュすることができますが、環境 が変わると眠れなくなるお子さんもいますし、普段と同じ環境でご家族がリラックスして 過ごせます。 

 

ナイトシッターがご自宅を訪問する場合は、赤ちゃんとシッターは同じ部屋で過ごし、ご家族は別の部屋で休んでいただきます。シッターは訪問中に休むことはなく、赤ちゃんが眠っている間も側で見守っています。産後、育児中は常に「呼吸は大丈夫かな」と赤ちゃんが寝ているときも気が張っている状態ですので、赤ちゃんと離れた空間でご家族に休息をとってもらうようにしています。 

「夫からの依頼も」産後の選択肢を増やしたい 

── 産後の自宅には、赤ちゃんのお世話に必要なアイテムや、おもちゃもたくさんあっ て、人が来るとなると「部屋を片づけなきゃ」と思う方もいるのではないでしょうか。

 

城野さん:ご依頼くださる方は、みなさんすっぴんにパジャマ姿ですし、我々も慣れてい るので気をつかわないでいただきたいです。ご自宅があまりにもきれいで、片づき過ぎて いたら、むしろちょっと心配になります(笑)。産後はがんばりすぎている方が非常に多 く、その結果、疲弊してしまうので、ひとりで抱え込まず人に頼って、みんなで子育てが できる社会になったらいいですね。 

 

── 厚生労働省によると、子育てをしながら働く母親の割合は全体の8割以上を占めています。「今は仕事を休んでいるから」と育休中の責任感から赤ちゃんの世話をひとりで担い、実家などにも頼らない方もいるそうです。 

 

城野さん:出産年齢が上がっているので、利用される方の年齢も上がっています。実家の親御さんも現役で働かれていて体力的に赤ちゃんのお世話は厳しく、親には頼れないという声を聞きます。最近は、ご主人からのご依頼も増えてきました。「自分は夜に起きられないから、夜間は専門の方に任せたい」「双子のサポートをお願いしたい」「自分が出張中にお願いしたい」というご依頼をいただいています。 

 

── 物をもらうことよりも、「睡眠時間をもらえること」が産後何よりも嬉しいプレゼン トなのかもしれませんね。 

 

城野さん:夜間、数時間でも安心して赤ちゃんを任せて眠ることが普通にできる世の中に なるために、育児の選択肢を増やしていきたいと思っています。ナイトシッターは「困り 切ってから利用するサービス」ではなく、産後の生活を支えるもののひとつとして、みなさんに知っていただけたらいいですね。 

 

取材・文:内橋明日香 写真:株式会社FETAS