自分を認められたことで摂食障害にも変化が

── 現在はヨガ講師として活躍されています。宝塚時代に抱えていた拒食症を改善するきっかけになったそうでが、なぜヨガを始めたのでしょうか。
天咲さん:最初は単なるダイエット目的でした。「動いていないと太る」という強迫観念から、汗をかくホットヨガに通い始めたんです。しかし、ある先生の言葉が私の人生を変えました。「ありのままの自分を尊重し、ジャッジせずに観察してください」と。
それまでの私は、自分を「いいか悪いか」「太っているか細いか」という二極化された基準で自問自答し続けてきました。ダメ出しをすることが向上心だと思い込んでいたんです。でも、ヨガは「今の状態をただ受け入れること」から始まります。その哲学に衝撃を受け、もっと深く学びたいと養成講座に飛び込みました。
── 先ほど、ヨガと出合えてコンプレックスから解放されていったとおっしゃっていましたが、その後、摂食障害は克服されたのでしょうか。
天咲さん:決してある日、突然治ったという魔法のような話ではないですね。ヨガを続けるなかで、「少しずつかさぶたが剥がれて、新しい肌が見えてくる」ような、緩やかな、グラデーションのような変化でした。
気づけば、あんなに執着していた体重計に乗らなくなっていたんです。他人と自分を比べる時間も減っていましたし、ご飯を「おいしい」と感じながら食べられるようになっていました。
この精神的な自立が、「相撲・宝塚・ヨガ」という自分のバックボーンを融合させたキャリアへと結びついていきました。自分を認められるようになったことで、ようやく運命を受け入れる準備が整ったのだと思います。
取材・文:石井宏美 写真:天咲千華