本音で言い合えたから後悔はない

── 旅行中も「1分1秒が貴重な最後の時間」という思いは、つねにあったのではないでしょうか?

 

大家さん:そうですね。これまでも旅行中に動画を撮影してきたのですが、今回は撮影をしながら「最後の時間」を意識していて。「このいちばん楽しい思い出を絶対に残したい」と家族で思いながら、貴重な時間をカメラに収め、帰宅後に父に動画をプレゼントしました。

 

「最後だから記録する」という行為は、ふだんから写真を撮り合う仲でなければなかなかハードルが高いのかなとも思います。まさにタブーに触れるように「最後だからたくさん写真や動画を撮る」ということをお互いが過剰に意識して辛くなってしまうこともあるから。うちはもともと家族写真もたくさんあって、兄妹同士も、父と母も、日ごろからたくさん写真を撮る家庭なので、最後もふだん通りの撮影の流れで自然と撮れたのはよかったなと思っています。

 

大家志津香
日ごろからたくさんの家族写真を撮るという大家さん。お母さんとはお揃いのサングラスでパチリ

── 本音では「最後だから聞いておきたい」「最後だからたくさん写真を撮っておきたい」思いがあっても、「もうすぐ死ぬ」状況をデリケートに扱いすぎて、本人との最後の時間に素直に向き合えず、後悔してしまう人も多いように思います。

 

大家さん:そうですよね、知り合いが「親にとって自分がどういう存在だったかを亡くなる前に聞きたかった」と、後悔した思いを教えてくれて、私はすぐに父に聞きました。私の家族はふだんから話したいことを話しているし、聞きたいこともズバズバと遠慮なく聞く家族なので、「あのとき聞いておけばよかった」というような後悔もありません。そういう家族は珍しいほうかなとは思います。

 

たとえば、「福岡でのお仕事の放送が間もなくだから見てね〜」と私が言うと「ごめん。オンエアはたぶん見られないと思う!」と。そこで、「もうちょっと生きるんだから放送は見られるでしょ!」と私がツッコんだりして。父は命のリミットを感じつつ暗い雰囲気にならないよう、タブーなくツッコませてくれる状況を作ってくれていたようにも思います。

 

── 何でも話してきたお父さんやご家族との関係性のよさが、後悔ないと思わせてくれるというのは理想的ですね。

 

大家さん:家庭内でも日ごろから父は思いを子どもに伝えてくれるところがありました。私は16歳で芸能活動のため福岡を離れて上京したのですが、実は父が心配で反対していたと後から知りました。でも、紅白歌合戦に出場したり、テレビで活躍したりする姿を見て、「3人兄妹でいちばん手がかかったお前がこんな親孝行な娘だと思わなかった。ありがとう!」と、言ってくれたことを思い出します。

 

たくさん会話をしておいたことはよかったなと思います。父の気持ちにしっかり耳を傾けたり、正直に思いを伝えたりして、闘病をサポートする家族としても、自分ができることをすべてやりつくしたと思えます。父を亡くしても前向きでいられる理由も、そんな密な会話にあったのかなと思います。

 

取材・文:加藤文惠 写真:大家志津香