シニア世代がペットを迎え入れるために
── ずっとペットのいる生活を送ってきた人にとって、ペットのいない暮らしはなかなか想像しにくいものですよね。今後あらたに、ワンちゃんを迎えたいと思うことはないんですか。
松原さん:迎えたい気持ちはあります。でも、今度は自分の年齢を考えると、やっぱりためらいます。これから出会った子が仮に10年生きたら、私は75歳。15年なら80歳です。そのときまで私が元気でいて、ワンちゃんの面倒を最期まで見られるのか。
もし私のほうが先に亡くなったら、その子はどうなるのだろうと思うと、簡単には決められません。いっぽうで、今いるプリンがいなくなった後、もう新しいワンちゃんを迎えない生活を考えると、不安でたまらなくて。もう1匹迎えたい気持ちと、最後まで責任を持てるのかという迷いの間で、二の足を踏んでいますね。

── シニア世代にとって、ペットは孤独を和らげ、日々の暮らしに張りをもたらす心の支えです。一方で、新たに迎えるとなれば、自分の年齢や健康が大きな壁になる。ペットを必要とする思いと命を預かる責任との間に、シニア世代ならではのジレンマがあります。新たな命を迎えるためには、何が必要だと思いますか。
松原さん:「かわいいから」「自分が寂しいから」という気持ちだけでは、もう命は預かれません。自分が病気になったり入院したりしたときに、誰がお世話をしてくれるのか。もっといえば、ひとときの問題でなく、長期入院などで自分が完全にワンちゃんの面倒を見られなくなったら、誰が引き取り、最後までかわいがってくれるのか。次に迎えるなら、そこまで考えておかなければいけません。
── 最後まで動物を飼う責任を果たすためには、いざというときの預け先など、頼れる相手を見つけておくことが、ペットの命を守るセーフティネットにもなりますね。
松原さん:何かあったときに、「うちで預かるよ」「様子を見に行くよ」と言ってくれる関係性をふだんから作っておくことは大切ですよね。私の場合なら、事務所の社長でもある弟に「いざというときはお願いね」と、約束しています。自分ひとりで何とかしようとするのではなく、周囲にも協力してもらいながら、命を守れる準備をしておくことが大事なんじゃないでしょうか。
飼い主が健康でいるのが第一
── ひとりで最後まで背負い込むのではなく、周りの力を借りる準備をしておく。それが、シニア世代が動物を迎えるためのひとつの「責任」の形なのかもしれません。
松原さん:まずは、責任を担う私自身が元気でいることが大前提です。今は新しい子を迎えるかどうかより、そばにいてくれるプリンとの時間を大切にしたいですね。「もっともっと長生きしてね」と話しかけながら、1日でも長く一緒にいられたらと思っています。
取材・文:西尾英子 写真:松原のぶえ