たかがペットとはいえないほど、一緒に暮らす人にとっては家族も同然の存在。ペットが亡くなれば悲しみや寂しさも溢れます。新たに迎え入れようと考えたとき、飼う側がシニアであれば自分の寿命も気になり、「もし死んだら誰がペットを育てるのか」と強烈な不安にも襲われます。いま65歳の松原のぶえさんは、その問題に直面しています。

17歳の愛犬と過ごす日々

── 現在ひとり暮らしをされている松原さんにとって、長年一緒に暮らしてきた愛犬たちは、生活に欠かせない心の支えだそうですね。昨年は、16歳の愛犬を見送られたと伺いました。

 

松原さん:本当にかわいい子だったので、ものすごく悲しかったです。これまでずっと途切れることなく複数のワンちゃんと一緒に暮らしてきました。1匹を見送っても、そばには別の子がいてくれたので「亡くなった子のぶんまで、今いる子に愛情を注ごう」と思うことで、何とか乗り越えてきたんです。昨年も、もう1匹の子が残っていてくれたからふさぎ込まずに済んだのだと思います。

 

犬たちを見送るたびに、命には終わりがあることを突きつけられます。それはペットだけではなく、自分もやがて同じときを迎えるということでもあるんだよね、と。

 

16歳で旅立った愛犬レディ

── 悲しみのなかでも、残された愛犬にそのぶんの愛情を注ぐことでペットロスを乗り越えてこられたのですね。

 

松原さん:そうですね。昔、とてもかわいがっていたシーズーがいたのですが、私が腎臓移植の手術で入院している間に亡くなってしまったんです。私が退院するまで、周りのみんなは気遣って黙っていてくれていました。後になって知ったときはそばにいてあげられなかったことが申し訳なくて、本当に悲しくて。

 

でも、周りの人から「のぶえちゃんの悪いところを全部持っていってくれたんじゃないの」と言われて。悲しみと同時に、それまで一緒に過ごしてくれた感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました。残された子たちがそばにいてくれたから、前を向けたことは何度もあります。

 

現在、一緒に暮らしているのは、2026年8月で17歳になるトイプードルのプリンです。今は日中のほとんどを寝て過ごし、散歩にもあまり行きたがりません。だから、今は部屋の中でプリンが自由に動けるようにし、一緒にベランダに出て外の空気を吸ったりしながらのんびり過ごしています。私も65歳でプリンは人間でいえば80歳以上ですから、まさにおばあちゃん同士の暮らしですね(笑)。

 

仕事で嫌なことやつらいことがあっても、家に帰ってプリンの顔を見ると、気持ちのスイッチが切り替わります。ひとり暮らしの寂しさも癒してくれますし、私がお世話をしているつもりでも、実際には私のほうが支えてもらっているんだと思います。

 

先ほども申し上げましたが、これまでは1匹を見送っても、複数飼いをしていたので、別の子がそばにいてくれました。でも今は、プリンだけ。「この子までいなくなったら、私はどうなってしまうんだろう」と考えると、不安になります。