『NHK紅白歌合戦』に7回出場するなど、華やかな舞台に立つ演歌歌手の松原のぶえさん。しかし、いまも元夫が残した多額の借金を返していく日々です。いったい何があったのか、歌手活動の危機をどう乗り越えたのか。松原さんはじっと真っ直ぐな視線で先を見つめ、言葉を紡いでくれました。

「多額の借金に税金滞納」記者から知らされ

──『NHK紅白歌合戦』に7回出場するなど、国民的な演歌歌手として知られる松原のぶえさん。一方、私生活は波乱万丈でした。1992年に当時のマネージャーと結婚しましたが、2003年には松原さん名義の多額の借金や税金滞納により、自宅が差し押さえられる事態に。しかも、その事実を初めて知ったのは、週刊誌から取材を受けたときだったそうですね。

 

松原さん:週刊誌の方から「こういう記事が出ます」と内容を見せられて、初めて自分名義の借金や税金の滞納を知り、「いったい何が起きているの?」と、ただ驚くばかりでした。仕事は順調でしたから、なぜ税金を滞納するようなことになるのか、まったく理解できなかったんです。

 

松原のぶえ
デビューから45年以上。大病を乗り越えた今も変わらぬ歌声を届ける

── なぜそれほど事態が悪化するまで気づかなかったのでしょうか。

 

松原さん:17歳でデビューして以来、経理や税金のことを自分で扱った経験がありませんでした。所属事務所にいた頃は経理の方に任せ、結婚後は夫が管理していました。彼からも「君はお客さんに歌を届けることだけに集中すればいい」と言われ、その言葉を信じて任せきりにしていたんです。後になって、仕事で得た収入がすべて使われていたことを知りました。

 

── 信じて任せていたからこそ、当初は疑う余地もなかった。振り返って、何か違和感を覚えたできごとはありましたか。

 

松原さん:彼は事務所の社長になってから、仕事への姿勢が少しずつ変わっていきました。もともとマネージャーとして働き、スタッフの苦労をよく理解していた人です。それが、私と同じ時間に現場へ入り、私がステージに立っている間は楽屋で寝ていることも増えて。「他のスタッフもいるのだから、そういう姿は見せないでほしい」と何度も言いましたが、次第にケンカも増えていきました。

 

そのうち、「中国でビジネスをやる」と言い出し、家へ帰らない日が増え、何をしているのかもわからなくなって。「何かがおかしい」と感じるようになりました。いろいろなことが重なり、仕事を手伝ってくれていた弟に「離婚しようと思う」と相談しました。母にも打ち明けると、「高い授業料を払ったと思って、離婚すればいいんじゃない?」と言ってくれて。その言葉に背中を押され、ようやく決断できました。