亡き夫の意思と私の思いを形に

── その後、現在活動されているアルコールなどの依存症当事者を支援するNPO法人「iCom」を設立されました。

 

神代さん:晋ちゃんが生前から「社会のためになるNPOを作りたい」と話していたこと。また、私自身、依存症から回復した経験や自助グループの活動、引きこもり支援などの実践を形にするため、晋ちゃんが亡くなった翌年にNPO法人「i Com」を設立しました。孤立する本人や家族を地域で受け止める場所を作りたいという思いが土台にありました。

 

今年2月には山口県宇部市に1軒家を購入し、希望する人たちと生活を共にして、自立を目指す「心羽(しんば)」も始めたし、アルコール依存の講演会も定期的に行っています。私自身は人工透析を再開し、週3回通っています。

 

── ご自身のアルコール依存症と脱却、旦那さんとの出会いと別れ、NPO設立など、多くの出来事があった半生だと思います。これまでの人生を振り返って、どう思いますか?

 

神代さん:アルコールを辞めたきっかけは祖母でしたし、アルコール脱却後の自分を支え、過去の傷を癒してくれたのは当事者の会のメンバーや夫でした。晋ちゃんは亡くなりましたが、その想いを受け継いでNPO法人を設立した今、私の周りには大勢の仲間ができました。人との関わりで、自分は変わることができた。

 

だからこそ、今度はアルコール依存の苦しみを知っている当事者として、私ができる人との関わりを続けていきたい。それが私が生まれた使命だと思っています。

 

取材・文:松永怜 写真:神代ちよみ