弁護士は「人のケンカに首をつっこむ」仕事

── お話を聞いていて、平松さんからは誠実な印象を受けます。弁護士として活動して10年、正直なところ、いかがですか?

 

平松さん:私がというより、一般論として、弁護士は心身ともに大変な仕事だと思います。そもそも、弁護士は「人のケンカに首をつっこむ」仕事です。トラブルや裁判などの過酷な重圧が常にかかった精神状態にいる人たちと接することが多いため、私たちも精神的にしんどくなりがちです。困りごとやもめごとを抱えた人のつらい話を毎日、シャワーのように浴びるわけですから。

 

芸能界にいたころは「何か楽しいことをやろう!」と、周囲は希望に満ちた話ばかりでしたが、現在は正反対の世界。知的財産権やM&A分野などでは前向きなこともあるかもしれませんが、私たちのようなマチ弁(地域密着型の町の弁護士)は前向きなテーマの仕事はありませんし、私はそういう依頼を受けたことは一度もないです。実際、大分でも弁護士になったばかりの若手の数名が心を病んでやめて田舎に帰ったり、人生を考え直したりというケースが続きました。

 

── 大変な仕事ですが、お休みは?

 

平松さん:休むときはしっかり休むべきですが、長期休みはあまりとれないですね。昔から海外旅行が大好きなんですが、それも難しいです。というのも、毎日必ず電話をかけてくる依頼人が多いからです。この仕事を始めて海外旅行に行ったこともありますが、昨日電話してきた方が「どうなりましたか?」って、今日また電話してくるんです。

 

その方は、明日も明後日もきっとまた電話をかけてくるでしょう。でも、毎日電話をかけてくる気持ちも理解はできます。テレビドラマなどでは、法律事務所をあげてひとつの案件に取り組んで、日々、何か進捗があるように描かれていることが多いため、同じように私たちに期待する人もいるんです。

 

でも実際は、ひとりでつねに70件程度の案件を担当し、細切れの時間で少しずつ対応するので、毎日、変化があるものではありません。

 

── 弁護士が同時進行で、そんなに多くの案件を抱えるとは知りませんでした。平松さんは司法試験の勉強中、2度、深刻なうつ病になったそうですが、それ以降で気をつけていることは?

 

平松さん:多い人は、ひとりで同時に100件近く案件を抱える弁護士もいます。私の場合、土日は電話にも出ず、ひたすら心と身体を休めています。買い物にも行かず、家で寝るか映画を見まくるか…。宝くじにでもあたれば、アーリーリタイヤして海外旅行に行こうと夢見ていますが、まぁムリですね(笑)。

 

仕事を減らせばいいのかもしれませんが、大分県に20名ほどしかいない女性弁護士に対して、女性からの依頼が集中している現状です。もし私が仕事を減らしたら、そのぶん他の女性弁護士の負担が増えてしまうことになって顔向けできません。でも、これだけ多くの女性依頼者に求められ、悩んでいる人たちの力になれることにやりがいは感じます。今後も体調管理に留意しつつ、誠実に向き合っていきたいです。

 

取材・文:岡本聡子 写真:平松まゆき