「授乳室がどこにでもある社会」がベストだが
本来、授乳室は上記のようなリスクを回避するために作られた面があります。昭和の時代、駅や電車、上の子を遊ばせながら公園のベンチや道端で胸をはだけて赤ちゃんに授乳するお母さんは珍しくありませんでした。
さまざまな技術が発展した現代でも、いまだに出産や育児は身体を張った原始的な営みで、毎日赤ちゃんのお世話をしていると「恥ずかしいなんて言っていられない」という気にもなってきます。いっぽうで、過去、外で胸を出すのは…と抵抗がありつつも「母親はそういうものだから」と我慢していた女性もいたことでしょう。

近年になって、プライベートゾーンを見られたくないという女性の人権を守るため、またスマホの普及による盗撮などが増えてきたことから、大型の商業施設を中心に授乳室が設置されてきました。アンケートでは「授乳室のある店を調べてそこに行けばいい」(3%)という声もありましたが、手続きや上の子の用事で訪れた先に必ずしも授乳室があるわけではなく、調べていっても「使用中」というケースもあります。
本当は「どこにでも授乳室がある社会」が理想ですが、少子化の時代、なかなか設置に踏みきれないお店も多いはず。そこで、すっぽり上半身を覆って小さな授乳室を作る「授乳ケープ」が販売されるようになったという背景があります。自由回答ではこんなコメントも。
「出先で授乳リズムが狂い急に授乳が必要になった時に、場所がなくてファミレスの席で授乳したことがあります。悪いことをしているわけではないと思いつつ、周りに申し訳ない気持ちになりました」(30代女性・0~12歳の子どもあり)
「すべての店に授乳室を作るのは難しいと思うけど、電車やバスに優先座席があるように、カフェやレストランにも授乳優先席を作ってはどうでしょう」(50代男性・子どもなし)
今回の論点が法やルールではなく個人間の配慮である以上、唯一の正解を出すのは難しいですが、アンケートにあるような、赤ちゃんとママが「申し訳ない」と感じてしまう社会にはしたくないものです。少子化で授乳の場面に出会うこと自体がどんどん減っている時代ではありますが、もしカフェで遭遇したら、あなたはどう感じますか?
文:高谷みえこ アンケート時期:2026年6月 アンケート人数:男女300人