2026年6月、あるSNSの投稿が話題になりました。「カフェで、ケープで隠しながら授乳していたら、スタッフからご遠慮くださいと言われてしまった。配慮していたつもりなのに悲しい」というものです。投稿者は「入店時に確認しなかった自分も悪かった、今後は控えようと思う」と書いているものの、これに対して「赤ちゃんにとって必要な『食事』なのに、周囲の大人の不快感を優先させていいのか」との疑問の声や、「カフェではなく授乳室がある施設に行くべき」といった意見が相次ぎ、社会的に何が適切なのか、議論が起きています。

法・ルールの先にある「配慮」とは

いろいろな年代や立場の人々が、カフェでの授乳についてどのような意見を持っているのかを知るため、全国の20代~70代の男女300人を対象にアンケートを実施。見えてきたのは、「配慮とはなんなのか」という根本的な疑問です。

 

まず前提として、現在の日本の法律では公共の場所での授乳自体は禁止も保証もしていません(アメリカや台湾をはじめ海外では法律で授乳の権利を保証している国もあります)。いっぽう、飲食店の経営者が「お子様の入店お断り」とすることも、民法の契約自由の原則により基本的に問題ありません。人権問題として妥当かの議論はいったん置いておき、乳幼児の入店や授乳はNGというルールが明確にあるお店ではそれを守るべきといえます。そこで、今回のアンケートでは「お店に確認して授乳はOKだった」という条件で意見を聞きました。

 

赤ちゃんと母親
授乳に対する感じ方、捉え方は人それぞれ。ルールと配慮の境界線が引きづらい

「お店がOKならいいんじゃないの?」と思う方も多いでしょう。実際、今回のアンケートでも「店がOKしていて、ケープで隠しているなら問題ない」と回答した人が最多で、300人中183人(61%)でした。

 

本来ならこの話はこれで終了だといえます。しかし、そのいっぽうで、授乳は子育てにおいて欠かせないものだが、他人の目にふれる場所では「気まずい」「控えてほしい」との声も。今回のアンケートでは300人中の約15%にあたる44人が「店がOKで、ケープで隠していても、カフェでゆっくりしているときに店内で授乳されるのはイヤだ・不快だ」と回答しました。

「自分にとっては授乳はかなりプライベートな行為で、ケープで隠れていても気まずい気分になるのでやめてほしい」(30代女性・子どもはいない)

「カフェは飲食する場所なので気持ちのいいものではない。生理的なことは控えてほしい」(40代男性・子どもはいない)

「ケープで隠しても嫌がる人はいそう。なにごとも100%の賛同は得られないので、できるだけの配慮をしたのなら、割りきって遠慮せず生きていかないと、子どもを守れない気がします」(50代男性・13~18歳の子どもあり)

という声も。つまり、法やルールがあったとしても、現場では「店がOKでも生理的に受け入れられないので、本音としては控えてほしい」「イヤな人もいるだろうけど、ケープで配慮しているのだから認めてほしい」という「配慮」がぶつかりあっている状態なのです。いま議論になっているのも、この「配慮」の部分だといえます。誰が、どこまで配慮するべきなのか…という価値観は、わずか300人の中でも大きく異なっていました。