簡易検査では「異常なし」も、専門病院の診断は

小島可奈子
手術後、腕には点滴を

── そこから検査、治療はどのように進んだのですか。

 

小島さん:約10年前、夫の指摘を受けて最初に受診した際、本来は病院に1泊して睡眠中の状態を調べる精密検査が必要だと言われました。ただ、当時は赤ちゃんがいて入院することができなかったため、まずは医師の判断のもと、機器を借りて自宅で治療を試みる形になったんです。

 

それが、マスクから空気を送り込んで呼吸を助けるCPAP(シーパップ)という医療機器でした。

 

ところが、当時の機器は作動音が大きく、赤ちゃんの枕元で使いづらかったうえに、装着時の息苦しさもあって一度断念してしまいました。

 

その後、育児が落ち着いた頃に再び原因を確かめようと簡易検査を受けたのですが、結果は「異常なし」。それでも夫は「絶対に無呼吸になっている」と言うんです。あとからわかったことですが、自宅用の簡易検査では捉えきれないケースもあるようでした。

 

── 検査結果が「異常なし」なら、多くの人は「じゃあ仕方ない」とそこで原因探しを諦めてしまいがちですが、小島さんは違ったんですね。そこからどうやって本当の原因にたどり着いたのですか。

 

小島さん:朝起きた時の体の重さや呼吸のしづらさは消えていないわけですから、どうしても納得がいかなくて。藁にもすがる思いで調べていたときに、鼻の手術を受けた方のブログに出会いました。そこで鼻の骨の形が原因で息が吸いにくくなり、睡眠に影響が出ることがあると知り、「もしかしたら自分もこれではないか」と専門の病院を受診しました。

 

レントゲンを撮ると、案の定、鼻の骨が出っ張っていたんです。さらにアレルギーで奥の粘膜も腫れており、骨の変形と炎症のダブルパンチで空気の通り道が狭くなりすぎていて。先生に「以前CPAPが合わなかった」と伝えると、「これだけ通り道が狭ければCPAPは合いにくい」と言われ、長年の疑問がようやく腑に落ちました。さらに喉の奥を診てもらうと、他の人よりも組織が厚く、それも呼吸を妨げている原因だとわかったんです。

長年の不調の理由が、ようやく繋がった

── 骨格の問題だったとわかったとき、過去を振り返って思い当たることはありましたか。

 

小島さん:もともとハウスダストアレルギーがあり、ホコリっぽい現場では鼻炎薬が手放せませんでした。ただ、それは単なるアレルギー症状だと思っていて、普段から鼻呼吸が十分にできていないとは疑いもしなかったんです。

 

昔からサウナのような密室が苦手だったり、瞑想教室や役者時代の発声練習で「鼻から息を吸う」のが難しかったりしたのも、すべて繋がりました。呼吸の仕方は人と比べようがないので、自分が口呼吸が当たり前になっていることにまったく気づけなかったんです。

 

── 長年の不調の理由が、ようやくすべて繋がったのですね。

 

小島さん:「体格的に当てはまらないから関係ない」と思い込まず、諦めずに原因を探し続けて本当によかったです。自分の体の構造が理解できて、苦しみの謎が解けました。これらを取り除けば長年の不調から解放され、私の健康人生は変わるかもしれない。そう期待して、手術を受ける決意をしたんです。

 

取材・文:西尾英子 写真:小島可奈子