数字は追わないが投稿動画は6年で2000本

── 自分たちのペースを大切にするいっぽうで、約6年で約2000本もの動画を投稿されています。チャンネルを拝見すると、サッカーのプレー動画だけでなく、ご家族が出演されたり、プライベートな部分も惜しみなく出されていますね。動画から伝わる楽しい空気感の裏には、並々ならぬ努力があったからこそ積み重ねられた数字だと思います。数字が伸びない時期に苦しくなることはなかったですか。

 

森保さん:数字を伸ばしたい気持ちはもちろんありますが、あまり考えすぎないようにしていました。数字を追いすぎると、それに振り回されて自分たちが楽しめなくなってしまい、本末転倒ですから。

 

それに「有名になればなるほどいい」といった感覚もないんです。ノンプロの試合で出場する際や観たい試合の観戦でスタジアムに行けば声をかけてもらうことも多いですが、街中で声をかけられるほど、世間一般に知られているわけでもない。そのくらいが今はちょうどいいです。

 

アバック銀座FC 森保圭悟
社会人サッカーリーグ「アバック銀座FC」では監督兼選手も務める(前列左から2人目が圭悟さん)

── 長く続けていくために、動画づくりとの距離感はどう考えているのでしょう。

 

森保さん:再生数を取らなきゃ、というマインドになりすぎると、苦しくなります。数字を考えすぎると「仕事モード」の意識が働いて、どうしても「やらなければ」という感覚が出てくる。それは見ている人にも伝わってしまいます。

 

だから、「LISEMはこう見せる」といったブランディングや事前の企画づくりを、あえて細かく固めすぎないようにしています。最初から決め込んでしまうと予定調和になり、僕らの最大の武器である「親近感」や「素の面白さ」が消えてしまう気がして。前もって細かく仕込むより、グラウンドに着いてから「今日はこれ、やってみたら面白いんじゃない?」と始まるような、その場で生まれるリアルなノリを大事にしたいんです。

 

うちのチャンネルは視聴者の年代がすごく幅広いんです。子どもから50代、60代の方までいて。昔サッカーをしていた中高年の方から「動画を見てまたボールを蹴りたくなった」と言われたり、「ダイエット目的で見ている」という声もあったり。

 

本気で競技をしている人だけでなく、少しサッカーから離れていた人や、体を動かしたい人にも届いているのは嬉しいですね。 僕たちの動画が、そうした人たちにとってもう一度ボールに触れる「きっかけ」になり、プレーするのとは別の形でサッカー界を盛り上げていけるなら、それはすごく意味があることだと思っています。

自分らしいスタイルでサッカーの魅力を発信

── 現役時代は、結果を求められる厳しい世界に身を置いていました。今はYouTubeを通して、自分たちが楽しみながらサッカーの魅力を届ける立場にもなっています。圭悟さんのなかで、サッカーへの思いは変わりましたか。

 

森保さん:選手としてプレーしていた頃は、どうしても結果を出すことが求められますし、純粋にサッカーを楽しむ気持ちを見失いかけていた時期もありました。でも今は、自分たちが楽しんでボールを蹴っている姿を見て、誰かが「またサッカーをやってみたい」と思ってくれる。それがすごくうれしいんです。選手時代とは違う形ですが、今が一番、いい距離感でサッカーと付き合えている気がします。

 

取材・文:西尾英子 写真:森保圭悟