「楽しめ」父の言葉がいまの活動の根っこにある

── 26、27歳でまったくゼロからスタートした動画配信と考えると、大きな賭けにも見えますが、根拠のない自信や前向きさは、もともとの性格なのでしょうか。

 

森保さん:昔はあまり前に出て自分から何かをやるタイプではありませんでした。ただ、大学卒業後に渡った海外生活のなかで、現地の人たちの生き方に肌で触れたのが大きかったです。海外の人は、自分の信念をしっかり持って物怖じせずに意見を言う人が多い。周りを気にしすぎない生き方を体感できたことで、「自分たちが面白いと思うことをとことんやってみよう」と、思えるようになった部分はありますね。

 

リゼム 森保圭悟
圭悟さん(写真一番右)たち「リゼム」のYouTubeは2021年、チャンネル登録者数が10万人突破!

── そもそも海外に目を向けるきっかけは、お父さんの影響だったとか。

 

森保さん:親父からは「とりあえず海外に出ろ」とずっと言われていました。小学6年生のときには、ニュージーランドに単身留学をさせられたこともあります。親父も現役時代に日本代表として世界を肌で感じ、いろいろな景色を見てきた人なので、僕たち兄弟にもそういう経験を早くからさせたかったんじゃないかと思います。

 

トップリーグや上位カテゴリーとなるとまた違うのでしょうが、海外ではセミプロとして現役でサッカーを続けながら、まったく別の仕事を持ち、自分らしく人生を楽しんでいる選手たちもいました。そういう姿を間近で見たことで、サッカーを「楽しむ」ことへの思いがより深まった気がします。

 

── ご自身のチーム名「LISEM(リゼム)」にも、「人生は短いから、もっと楽しめ(Life Is Short Enjoy Moreの頭文字をとってLISEM)」という意味が込められています。現在は兄の翔平さん、弟の陸さんもメンバーに加わり、5人で活動されているそうですね。お父さんから言われ続けてきた「楽しめ」という言葉が、いまの圭悟さんの活動そのものにもつながっているように感じます。 

 

森保さん:間違いなくそうですね。その価値観によって、視野がすごく広がりました。「人生ってサッカーだけじゃないな」と感じられたからこそ、選手としてのキャリアに執着せず、踏ん切りをつけて次の人生を思いきり楽しもうと思えたんです。

 

ただ、サッカーから離れたかったわけではありません。自分を育ててくれたのはサッカーですし、形を変えて関わり続けたいと思いはありました。結果を求められる選手としてではなく、楽しみながらサッカーと関わる。そういう意味では、親父からずっと言われてきた「楽しめ」という言葉が、今の活動の根っこにもつながっているのかもしれません。

 

取材・文:西尾英子 写真:森保圭悟