「困ったときはSOSを出してもいい」と思えたのは
── 藤本アナ以外の、職場の方には伝えていたのでしょうか?
村西さん:パニック症というのは見た目にわからない病気であることもあり、経験していない方に理解してもらうのはとても難しいことでした。病気だというとよかれと思って「休んで」と言われるので、軽々しく話すこともできず、報道のスタッフには公表していませんでした。ニュースキャスターは使命感を持って務めており、病気になったことで諦めたくなかった。しかしそのことが余計に「ここで私がパニックを起こしたら生放送はどうなるんだろう…」という心理的なプレッシャーを自分にかけていたと、今ならわかります。
当時は、番組が始まって以来、ずっと担当してくださって仲のよかったスタイリストさんとメイクさんの力を借りて乗りきっていました。ふたりには状況を正直にお伝えし、念の為、抗不安薬を持っておいてもらいました。ふたりともよく私の手を握って「大丈夫、大丈夫」と言ってくれて、その対応にどれだけ助けられたかわかりません。
そして、大きく業界という意味では、お世話になっていたハイヒール・モモコさんに報告をしていたのですが、そのときのモモコさんの言葉にすごく救われました。

── ハイヒール・モモコさんといえば、ストレスからメニエール病や帯状疱疹を患い、苦しんだことを明かしていらっしゃいます。どんな言葉をかけられたのでしょうか?
村西さん:「テレビ業界には多い病気やから、困ったときは気にせず誰かに『助けて』って言ったら絶対助けてくれるよ」と言ってくださいました。「生放送や緊張感ある現場に挑むのに、毎日ベストコンディションを保ち続けるのはすごく難しいこと。みんなうまいこと持病や自分の特性を薬やいろんなものでコントロールしながら乗りきっているから」と。そんなふうに言われて、病院や薬に抵抗を持つのをやめて、うまく付き合っていこうと思えましたし、困った時はSOSを出してもいいんだ、と安心できました。
最近は、パニック症を公表している有名人も増えましたよね。そういった方が病とうまく付き合いながら明るく元気に活動されている姿を見て勇気をもらったから、私も人に聞かれたら臆せずに話していこうと思うようになりました。また、病をきっかけに心理学を学んだこともあり、正しい知識を発信していけたらと考えています。
取材・文:富田夏子 写真:村西利恵