「それでも私は運がいい」生きてきたからこそ

「子どもに後遺症が残ったら」と心配でたまらなかった

── ご自身が母親になったことで、見えてきたものもありましたか?

 

愛迷さん:私ががんと闘病していたころの、母の思いが少しわかるようになってきました。長期間の入院生活と、つらい治療であっても、母はいつも明るく笑顔で接してくれていました。でも大人になってから、「あなたに見られないよう、隠れて泣いていた」と聞いて。

 

苦しむわが子を前に、「代われるものなら代わってあげたい」と思う気持ち、「不安にさせないように笑顔を絶やさない」という強さ。母は、複雑な気持ちを抱えながら、ずっと私を支えてくれていたんだなって。改めて、母への感謝の気持ちを強く感じています。そして、今度は私が、母のように強く明るく、わが子を支えようと考えています。

 

── これまでの人生を振り返って、どんなことを感じていますか。

 

愛迷さん:本当に運にめぐまれたなと思っています。小さいころに病から助けてくださった先生方がいて、どんなときも支えてくれた母がいて、理解して寄り添ってくれる夫がいて。たくさんの人との出会いに恵まれて、ここまで歩むことができました。

 

「美しさとは生き方だと思う」。この言葉は、大学生のときに訪れた美術館の掲示板に書かれていたものです。誰の言葉なのかはわかりません。でも、今でも私の心に残り続けています。今も後遺症でつらい日がありますし、「もっと健康だったらよかった」と落ち込むこともあります。それでも、この言葉のおかげで「これが私の人生なんだ」と前を向けるようになりました。そして、自分の人生を終えるときに「美しく生きたな」と思えるような人生を歩みたい。

 

今、「生きていてよかった」と心から思うことができています。たくさんの人に繋いでもらったこの命を大切にしながら、これからも歩んでいきたいです。

 

取材・文:佐藤有香 写真:愛迷みんみん