海外生活を通して見えた「日本のよさ」
── 第2子を日本で出産されたのはどうしてですか。
小出さん:日本での出産も体験してみたかったんです。本当は産後はデンマークに戻るつもりだったんですけど、コロナ禍で帰れなくなってしまって。今はそのまま日本で子育てをしています。夫はもともと海外での仕事が多くて、デンマークでも育児はワンオペでした。今は、近くに住んでいる姉や両親に助けてもらえるのでありがたいですね。
子どもたちは小学生になって、日本の学校に通っています。デンマークの学校は業者さんが掃除をしますが、日本では生徒が教室の掃除をしますよね。自分で掃除をするからこそ、次に使う人のことを考えてきれいに使おうという気持ちが育つと思います。そういう、日本に住んでいるからこそ学べることを子どものうちに身につけてほしいと思っています。
── 海外で暮らすことで、日本のよさが改めて見えてくるのかもしれないですね。
小出さん:妊娠してお腹が大きかったとき、日本のスーパーで店員さんがカゴを運んでくれて、泣きそうになりました。デンマークの人は、「契約にないことはしない」という意識が強いんです。でも日本の人は、困っていそうな人がいたら、何も言わなくても自然に手助けをしてくれる。そういう思いやりを、子どもも日常から学んでいる気がするんですよね。
── デンマークのご自宅は9LDKの豪邸だと話題になりました。またデンマークで暮らす予定はありますか。
小出さん:子どもが大きくなったら、また向こうで暮らす経験もできたらいいなと思っています。日本にもデンマークにも、それぞれいいところがあるので。
「ヒュッゲ文化」に感じる心の余裕
── デンマークの暮らしで印象的なのはどんなことですか。
小出さん:「ヒュッゲ」を大事にする文化ですね。デンマーク語で「心地よい時間」という意味です。冬が長い国だからこそ、デンマークには家の中で快適に過ごしたいと考えている人が多いです。日本とのいちばんの違いは、照明の明るさです。夜はキャンドルを灯して間接照明だけで過ごすので、最初は「暗くて見えない!」って思っていました。私が照明の調光を最大にしていると、夫や家に遊びに来た友人が勝手に暗くするんですよ(笑)。でも慣れると、日本の照明がまぶしく感じますね。
大工仕事が得意な人も多くて、友人に「家を改造しているんだ」と言われて「壁紙や家具を変えたのかな」と思って行ったら、壁をぶち抜いて改装していて。びっくりしました。
──「子育てをしやすい」というイメージもあります。
小出さん:そうですね。仕事も大事だけど、家族との時間を大事にしている人が多いからでしょうか。定時が15時という会社も多いし、お店も閉店時間の30分くらい前には片づけ始めます。
あとは、エコと健康のために車より自転車を使う人が多いところや、動物福祉が進んでいるところはいいなと思います。ワンちゃんも家族の一員だから、ケージに入れなくても一緒に電車に乗れますし、長時間留守番させることは禁止されているんですよ。
── 今後、やってみたいことはありますか。
小出さん:子どもの手が少し離れてきたので、自分の時間を充実させたいですね。高校を卒業したら大学に進みたいと思っていましたが、当時は両立が難しい環境だったので、仕事の道を選びました。だからこそ今は、年齢に関係なく、また新しくいろいろなことを学んでいきたいという気持ちがあります。食器に絵付けをするポーセラーツのインストラクターの資格を持っているので、しまいこんである窯を出してきて再開したいなと思っています。
先日、久しぶりにテレビのお仕事をして、「やっぱり楽しい!」と改めて感じました。これからはテレビや舞台のお仕事も含め、いろいろなお仕事に挑戦させていただけたら嬉しいです。
取材・文:林優子 写真:小出由華