生理が来ないことを「ラッキー」とすら思っていた

── 当時は過酷な世界だったんですね。

 

木村さん:そうですね。やはりそんな働き方をしていたので、ずっと体調はよくなかったです。収録が続いて、膀胱炎を何度も繰り返したり、帯状疱疹になったり、謎の蕁麻疹が出たり…。そうこうしているうちに、入社から4年ほど経った頃に生理が来なくなったんです。ストレスなども積み重なっていたように思います。

 

でもそのときは、「面倒くさくない、ラッキー」くらいの感覚でした。忙しい時期に生理が重なると大変じゃないですか。そもそも忙しすぎて、生理が来ていないことすら忘れていたし、自分の体調と向き合う余裕がまったくなくて。体調不良も見過ごしてしまう状況でした。

 

── どんなストレスが重なっていたんですか。

 

木村さん:やりがいがあって大好きな仕事だったからこそ、プレッシャーが大きかったんです。ニュース番組はたくさんのスタッフが関わって作り上げます。その最後に私ひとりが画面に出て視聴者に情報をお届けする。だから、私がミスをすると、チームみんなのそれまでの仕事を台無しにしてしまうわけです。そういう緊張感が常にありました。

 

また、視聴率が上がるのは大きな喜びですが、下がったときの心の負担も大きい。スタッフが視聴率に一喜一憂するのを見るたびに、ここで失敗はできないというプレッシャーが積み重なっていきました。

 

当時は「無理です」「できません」がどうしても言えませんでした。どんなに大変な状況でも、「自分が頑張ればどうにかなる」という気持ちが強くて、断るという選択肢が自分の中になくて。やりたいという気持ちと、声をかけてもらえたからには応えなければという気持ちが、いつも勝ってしまうんです。そんな状況がずっと続いていました。

 

── 体調はその後、どうなったのですか?

 

木村さん:生理は8か月こないままでした。でもある日、会社のトイレに入ったとき、生理用品入れがふと目に入ったんです。その瞬間、涙が止まらなくなってしまって。「みんなに当たり前にあるものが自分にはない。しかもそれをラッキーとすら感じている」という事実が一気に押し寄せてきました。女性として、とても大切なものを犠牲にしていたということに、初めてちゃんと気づいたんです。それで、ようやく病院に行きました。

 

先生には「どうしてこんなに長く放っておいたの」と言われました。ピルを処方してもらい、生理がくるようになりました。誰にも相談できなかったし、そんな余裕もなかった。トイレでの涙がなかったら、もっと長く放っておいたと思います。