視覚障がいのある子どもに運動する機会を

── 今後の目標はありますか?
松本さん:現役引退後にはなるかもしれませんが、同じような視覚障がい(ロービジョン)の子どもたちに、もっと体を動かす機会を作ってあげたいと思っています。
ロービジョンの子どもたちは盲学校では視力に合わせた運動をする機会があるのですが、通常学級の学校に行ってしまうと安全性の観点から体育の授業に参加することができないこともあります。以前にロービジョンの小学4年生の子どもに会ったのですが、その子は生まれてから一度も走ったことがなく、走り方がわからないと言っていました。そのときに走ることは当たり前じゃないと知り、こういう子どもたちのために運動する機会をもっと増やしてあげたいと思っています。
── ご自身が視覚障がい者となって気づいたことはありますか?
松本さん:僕も自分がこうなるまで、視覚障がい=全盲だと思っていましたが、そうではないということです。白杖は全盲の方だけでなくロービジョンの方も使うのですが、ロービジョンの方はもちろん見えているところもあるわけです。そうすると「見えないふりをしているだけだ」と周りから批判されることもあるらしく、以前の自分も全盲の人だけが白杖を使っているのだと思っていました。
僕は左目の視力も弱いため視覚障がい者として認定されていますが、片目の弱視や失明だけでは視覚障がい者として認定されません。でも、僕のようにトレーニングである程度のことができるようになったり、人によっては片目がある程度見えていたりするからといって平気なわけではなく、日常生活で大変なことはたくさんあります。僕の活動を通してそういう理解がもっと広まってくれたらいいなと思います。
取材・文:酒井明子 写真:松本光平