「50歳なんて、まだまだこれから」。司法試験に合格し、この春から新しい一歩を踏み出す寿司屋の女将・畠伸子さん。家事も育児も仕事も、バタバタとこなす毎日は、実は「すごい能力」を磨く時間でした。家族も自分も大切にしながら、50代で最高の「青春」を掴み取った、大人の再定義の物語。

主婦の能力が40代からの挑戦にも活きた

畠伸子
司法試験合格証を持つ畠さん

── 寿司屋の女将さん業、子育てと介護もしながら50歳で難関資格である司法試験に合格した畠さんですが、司法試験に挑戦にあたり「何かを犠牲にしないといけないのでは」という、不安や葛藤はありませんでしたか?

 

畠さん:コロナで客足が途絶えた家業を支えるためではありましたが、勉強は誰かにやらされたわけではありません。自分がやりたくてやっている「贅沢な時間」なんです。だからこそ、それを理由に家族を犠牲にするのは違うと思っていました。「勉強があるから子どもの送り迎えに行けない」と言うのは論外。まずは自分の役割をきっちり果たす。その姿を見せ続けることで、ようやく家族も私の本気を感じ、応援してくれるようになりました。

 

── 確かに、優先順位を考えないと家庭が壊れてしまいますよね。

 

畠さん:子どもも「家族の時間はなくならないか」、初めは心配していたと思います。だから、勉強を始めた当初は、隙間時間の15分程度です。周りを巻き込まず、完璧にやろうともしない。それが大事です。続けていれば自然と効率は上がっていきます。

 

そもそも多くの主婦は、やることが多いぶん、無意識にマルチタスクをこなしていますよね。家事、育児、仕事…優先順位を考え、同時に回す段取り力は、実はすごい能力なんです。そうした「工夫する力」は、受験勉強にも活きてくると実感しました。