深夜の食卓に置かれた「最高の褒め言葉」

── ドラマのようですね。ただ、その「秘密」がテレビ番組でバレてしまったとか。奥さんはどんな反応をされたのですか。

 

ムーディ勝山さん:ある番組の「一発屋芸人特集」に出演したんですね。そのとき、ブームが去ったあとにどれだけ仕事が減ったか、貯金を切り崩して苦労しているかといった内容を、面白おかしく話しました。僕がいない間に、彼女がその放送を観てしまったんです。その放送日、僕はたまたま仕事があって帰宅が深夜になって…。

 

彼女はテーブルに夕食と手紙を置いてくれていました。「仕事が全然ないなんて知らなかったから、毎朝早くに起こしたりしてごめんね。もう夕食済ませたかもしれないけど、ご飯作ったから食べてね。トーク、めっちゃ面白かったよ」って。その文字を見た瞬間、ずっと黙っていた罪悪感と、もう隠さなくていい安堵、彼女の優しさへの感謝が一気にあふれ出して。ひとりで号泣しました。彼女がいてくれて本当によかった…と、心の底から思いました。

 

ムーディ勝山
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── 素敵な方ですね。ムーディ勝山さんから見て、奥さんはどんな方ですか?

 

ムーディ勝山さん:ものすごくさっぱりしていて、ポジティブな人です。仕事がないとバレてからも「なんとかなるよ。人生、いいときもあればそうでないときもある」と、どっしりと構えてくれていました。彼女も正社員として働いていることもあり、経済的な面ではそこまで心配していなかったのかもしれません。

 

2011年に結婚しましたが、彼女はずっと前向きなんです。芸人の仕事は浮き沈みがあるものですが、それでも「仕事がなくなったらどうするの?」みたいなことは一度も言われたことがありません。ずっと動じず、笑顔で過ごしてくれています。彼女の存在は支えになっています。本当にありがたいです。

 

── そんなどん底を経て、最近は再ブレイクを果たしています。

 

ムーディ勝山さん:20年間ずっと、「右から左へ受け流す」を歌い続けました。地道に継続したことで、気づいたらまた「ムーディ勝山って面白い」と言われるようになってきました。コツコツと続けるのは、とても大事なことだと実感します。やっぱり続けることで見えてくるものがあるんです。

 

そして、僕が途中であきらめず、芸人を続けてこられたのは、間違いなく妻のおかげ。人生のどん底でも、彼女だけは僕を否定せず、いつもと変わらず過ごしてくれました。その姿がとても支えになりました。あの手紙をくれた夜から僕の「二度目の人生」が始まった気がします。

 

 

栄光の絶頂から、仕事があるフリをして公園で過ごした孤独な日々へ。ムーディ勝山さんを救ったのは、妻が残した「トーク、面白かったよ」という短い手紙でした。

 

あなたは人生のどん底にいたとき、誰かの言葉に救われた経験はありますか? また、プライドが邪魔をして大切な人に「弱音」を吐けなかったことはありますか?

 

取材・文:齋田多恵 写真:ムーディ勝山