「超魔術」で社会現象を起こしたMr.マリックさん。しかし公私でのストレスが、本人が知らぬ間に、体を蝕んでいました。「ある日、鏡を見たら顔がグニャリと歪んだんです」。それが顔面神経麻痺を患った発端でした。心身の限界を知ったMr.マリックさんは70代の今、目標の捉え方が変わったと話します。成功の代償を払い見つけたものとは。
「顔がグニャリと歪み」顔面神経麻痺に
── 1990年代に「超魔術」で社会現象を起こしたMr.マリックさん。そんなブームの真っただ中、「顔面神経麻痺」で緊急入院することに。発症した瞬間は、どんな状況だったのでしょうか。
Mr.マリックさん:友人と一緒にもつ鍋を食べていたとき、口に運んだはずの「もつ」が、ポロッと落ちてしまったんです。自分では何が起きたのかわからず、友人から「鏡を見てきなよ」と言われて。すると、顔がグニャリと歪んでいました。あわてて大学病院へ駆け込んだら、即入院へ。自宅へ着替えを取りに帰るひまもありませんでした。
── あまりに突然のことだったのですね。なにか兆候はあったのですか?
Mr.マリックさん:それがまったくなくて。ただ、医師からは「ストレスでしょうね」と言われました。当時、思い当たることがいくつかあったんです。人間って、ひとつの悩みだけなら「じゃあ、これを何とかしよう」と向き合えるのですが、2つ、3つと同時に重なると、体のいちばん弱いところに現れる。胃が弱い人は胃に来るし、心が弱い人は心が折れてしまう。私の場合はたまたまですが、耳の奥にある神経が8割切れたと言われました。ストレスって重なると逃げ場がなくなって、限界がくるんだなと思いましたね。

── いくつかのストレスが重なっていたとのことですが、具体的にはどんなことがあったのでしょう。
Mr.マリックさん:ひとつは家庭の問題です。娘(LUNAさん)が中学校に入って激しい反抗期を迎え、ヤマンバギャルのような格好をして家に帰ってこなくなりました。小学校のころは仲のいい親子だったのに、部屋に引きこもって口も聞かない。学校は不登校気味になり、先生とのトラブルで退学危機にまで発展しました。学校から呼び出されるたびに夫婦で出向いて、話し合いを繰り返すなど、対応に追われて疲弊していました。