デートをすっぽかされた?からの全力フォロー

── 突然メッセージが来たら、驚きが大きかったのではないでしょうか。

 

大屋さん:「以前、彼氏募集の企画に応募した者です」とメッセージがきたときは、アカウント名も本名ではないし、いたずらかと思いました 。でも、興味をひかれて何回かやり取りしていると、話している内容が番組に応募してきた方のプロフィールと合致することが多かったんです。本当に会いたかった本人かもしれないとだんだん思って…。メッセージで心の距離が少しずつ近づいて、2月ころに桜を見に行くことになりました。

 

── 当時はまだメッセージのやりとりだけでしか交流がなかったんですよね?初めて会ったときの印象はいかがでしたか?

 

大屋さん:それが…当日、彼は遅刻をしてきたんです。「待ち合わせ場所に着いたよ」と私がメッセージを送っても全然、既読がつかなくて。メッセージのやりとりをしていたときは誠実だと思っていたし、時間にルーズなイメージもありませんでした。だから「すっぽかされた?もしかしたら、最初からいたずらだったのかもしれない…」と、だんだん不安になってしまいました。

 

そんななか「すみません!」と私のほうに走ってくる人がいて。それが彼でした。待ち合わせ場所に向かう途中でスマホを忘れたことに気づき、連絡が取れないと困ると思って、急いで取りに帰ったんだそうです。一生懸命にその状況を伝えてくれたことで逆に好印象を抱きました。その後、何度か会い、5回目のデートでつき合うことになったんです。

 

大屋さんが座長を務める「劇団アラマンダ」

── 彼のどんなところに惹かれましたか?

 

大屋さん:優しくて誠実なのはもちろんですが、人と接するときに、偏見をもたないところが素敵だと思いました。夫は熊本出身で、私と出会ったときは沖縄に転勤してきたばかりでした。だから「沖縄に来て日は浅いけど、友だちはいる?休みの日は何をしているの?」と聞くと、「本土に住んでいる時に知り合った友だちが沖縄にいるから、よく一緒に遊んでいる」と教えてくれました。その友だちは障がいがあって、体にまひがあるそうなんです。車いすに乗っていて、食事もトイレも介助が必要とのことでした。

 

「一緒に食事に行ったとき、介助はどうしているの?」と聞くと、「自分が隣でご飯を食べるときや、お酒を飲む際はストローで飲むのを手伝うなど、トイレも連れて行くよ」とごくふつうに、気負うことなく話してくれました。お店を選ぶときも事前にバリアフリーなのか調べて、店員さんにも車いすユーザーが行くと伝えているそう。特別なことをしている風ではなく、彼にとっては、ごく自然なふるまいなのが伝わってきました。それが私にとっては衝撃的でした。

 

私は周囲に車いすユーザーがいません。だからもし近くに車いすに乗っていて、介助が必要な人がいたら、どう接したらいいのかわからないと感じていました。でも、そういったぎこちなさが、障がいのある人との間に距離を作ってしまうのかなとも思ってました。

 

── たしかに、これまで接したことがないと身構えてしまいがちです。

 

大屋さん:彼は先入観なく、相手のありのままを見ることができる人です。聞けば、彼の祖母は戦争のときに爆撃にあい、耳が聞こえなくなってしまったそうで。車いすにも乗っていて、子ども時代は一緒に過ごしていたとのことでした。大好きなおばあちゃんのお手伝いをした経験が、彼の温かい人柄をつちかったのかもしれません。だんだん惹かれるようになって、「この人だったら、両親に紹介しても大丈夫かもしれない」と思いました。