「家賃8万5000円」小さな木造アパートで四苦八苦の結婚生活

── 19歳で結婚し、その年に第1子を出産されたそうですね。当時の生活について教えてください。
かおりさん:結婚したばかりのころは、母が所有しているマンションに住まわせてもらっていました。しかし、長男が生まれて3か月ほど経ったころ「結婚したからには、自分たちのお給料で生活しなさい」と母に言われ、住む家を探すことになりました。
── 当時、かおりさんは専業主婦だったのですか?
かおりさん:そうです。だから夫の稼ぎのみで住める場所を探さなければいけませんでした。私は「都心で家を探したい」と希望していましたが、夫から「今の給料で都心は無理だよ」と言われ、給与明細を見せられて…。それでも私は「都心でも安くていい物件があるはずだ」と不動産屋を巡ったのですが、淡い希望はすぐに打ち砕かれました。
結局、神奈川県川崎市にある、家賃8万5000円の小さな木造アパートに引っ越すことに。夫の収入で家族3人の生活を営むために、試行錯誤の日々が始まりました。
── どのようなところに、生活の大変さを感じましたか?
かおりさん:家計の管理ですね。これまで、生活するためにどのくらいのお金が必要かを知らずに生きてきたため、家賃だけでなく水道代や光熱費も「こんなに高いのか…!」と驚きの連続でした。さらに、2歳差で3人の子どもを授かったため、徹底的に節約生活を意識。43平米の部屋に5人で生活していたので、手狭ではありましたが、再び引っ越す余裕はありません。第3子を妊娠中にパートに出ていましたが、切迫早産の疑いで辞めざるを得ず…。その後は主婦として、少しでもお得な商品をゲットするために、毎日近所のスーパーのチラシを見比べて買い物に出かけ、割引シールが貼られた商品をまとめ買いしていました。
── 節約の日々につらさを感じたことは?
かおりさん:「つらい」と感じたことはなかったです。たしかに生活は楽ではなかったですし、自分がこれまでいかに恵まれた環境で育ってきたかを痛感させられましたが、「結婚生活ってこういうもんなんだ」と、すんなりと納得していたように思います。同年代の友だちで、当時の私と同じ境遇の子がいなかったからか、他人と比べることなく受け入れていました。夫も優しくて、家族を大切に考えてくれる人だったので幸せでした。