おおらかな父とリビングででんぐり返しをする母

── でか美ちゃんは、どのようなご両親の元で育ったのでしょうか。

 

でか美ちゃん:父親は普通の会社員で、母親はパートをしている主婦という、ごく一般的な家庭で育ちました。父親はとてもおおらかで、母親は少し天然なところがありました。今でも覚えている光景があります。中学生のときに実家を新築して、リビングが広くなったんです。そうしたら、母がリビングをでんぐり返しで移動していて…。 「家が広くなったから、こんなこともできるようになったよ!」と言っていました。子どもながらに、ちょっと天然っぽい人だなと思っていました。父親はそんな母親を優しく見守っていたように思います。兄弟は9つ上に兄がいます。兄は母親の連れ子で、私と兄は異父兄妹になります。少し複雑な家族構成ではありますが、家族仲もいいですし、特に兄とはかなり仲がいいです。

 

でか美ちゃん
でか美ちゃんの地元、三重県松坂市にて

──お兄さんと9つ離れているんですね。

 

でか美ちゃん:9つ年上なので、私が小学校に入学するころには兄はすでに15歳だったんです。だから、すごくかわいがってもらっていました。いまだに子ども扱いされることはありますが、家族仲は普通にいいですね。ただ、両親はかなり放任主義でした。任せてくれるというか、私がやりたいことを否定することはなかったです。習い事も「やりたい」と言ったものは、たいてい見学に連れていってくれ、ピアノやそろばんを通わせてもらいました。

 

── ご両親の教育方針などはあったのでしょうか。

 

でか美ちゃん:どうなんでしょうか。嘘をついたり、両親に対してよくない口の利き方をしたときは怒られましたが、それ以外でこまかく何かを言われることはなかったですね。兄はシングルマザーで育った期間があるので、兄と私で環境が違ったのかもしれませんが、私に関してはとにかく放任されていました。兄は普通に進学して、普通に会社員として働いていたんですけど、私が高校生の時に仕事のストレスなどで精神疾患を患ったんです。だからこそ、両親のなかで「健康でいてくれればそれでいい」という思いが強かったのかなと思います。こまかいことを言われた記憶はありません。私がどうしたいか?と私の気持ちを尊重してくれていたように思います。

 

 

おおらかなご両親のもと、のびのびと育ったというでか美ちゃんですが、「お母さんとお父さんは、私にあまり興味がないのでは」と心のどこかで思った時期があったそう。しかし、久しぶりに実家に帰省した際に自分が出演したテレビ番組がずらっと録画されているのを見て、遠くから見守る親の気持ちが少しわかるようになったと言います。

 

PROFILE でか美ちゃん

でかみちゃん。自身の楽曲の作詞作曲やライブ活動、楽曲提供、コラム執筆などジャンルやメディアにとらわれず活動中。2021年には芸名をでか美ちゃんに改名。現在、活躍の幅をさらに広げている。


取材・文/大夏えい 写真提供/でか美ちゃん