自分の手足も含め、爪切りだけで80本分ある
── 旦那さんとは仲がいいそうですが、夫婦仲を保つ秘訣は何ですか。
横澤さん:子どもたちを寝かしつけたあと、お互いに子どものネタを披露する場がすごく楽しいです。「今日、長女がこんなことしてたよ」「それよくあるわ〜」と、ネタの見せ合いをしています。共通の話題で、共感できる人がいるのはうれしいですね。

── 旦那さんと揉めることはありますか。
横澤さん:めちゃくちゃありますよ。子ども3人のタイムスケジュールもそうですし、習い事の宿題を誰がみるかといった細かいことまで。
── 揉めごとはどうやって解決しているのですか。
横澤さん:うちは子どもに選ばせることで穏便に解決しています。子どもに「お父さんがいい?お母さんがいい?」と選ばせて、「お父さんがいい!」となれば「選ばれてますよ」って。わが家では子どものおむつ替えも「子どもの右手が上がったら、私。左手だったら夫」というふうに分担していました。ゲーム性があって楽しいですし、どちらの手が上がるかわからないスリルもあって。相手の手の方が上がったら「よっしゃー!」と本気で喜びます。
── 楽しそうな様子が伝わってきます。日々の家事なども分担しているのですか。
横澤さん:子育て番組に出演した際に専門家の方がおっしゃっていたことを参考に、やるべき家事を10個くらい書き出して、軽い気持ちでできるものを1点、やりたくないものを10点というふうに夫婦でお互いに点数をつけていったんです。点数化して見比べて、軽い気持ちでできる方がその家事をするようにしました。たとえば、料理は夫が10点で私が8点だったので私がして、洗濯物は私が9点で夫が2点だったので夫が、というふうに分けました。
── 名案ですね!
横澤さん:お互いに「相手がそんなことを思ってたんだ」と意外な面を知れたのもおもしろかったです。子どもの爪切りはお互いに5点だったので、気がついた方がやることにしました。
── 爪切りまでわけているんですね。
横澤さん:爪切りって子ども3人と自分の手と足の指も含めると80本分もあるんですよ。これは分担しなきゃですよね。数えない方がいいって言われましたけど(笑)。
── 夫婦間での家事の分担のほかに、毎日のルーティンがうまく回るように工夫していることはありますか。
横澤さん:ドラマのサントラを聞くことです。ドラマが好きなので、そのサントラを聞くとまるで作品の主人公になれたような気持ちになるんです。たとえば、子どもの保育園のお迎えに行く際に『ウォーターボーイズ』のサントラを聞くと、「よし、やるぞ!」という気持ちになれますし、『リッチマン・プアウーマン』はわくわくするようなヒロイン感が生まれてきます。『ガリレオ』を聞けばまるで自分が天才になって計算式を解いているようにサクサク家事が進みます。
── おもしろい工夫ですね。
横澤さん:家では子どもたちがプリンセスなどの曲を聞いていることが多いのですが、「お母さんの好きな曲知りたい?」と言っていきなりサントラを流すときもあります。現状のすべきことは何も変わらないのですが、気分だけでも新しい自分になれる感覚が楽しくて、ひとりで盛り上がりながら日々の家事ができるので、とってもおすすめです。
PROFILE 横澤夏子さん
よこさわ・なつこ。1990年生まれ。新潟県出身のピン芸人。『R-1ぐらんぷり』では2016年から2年連続で決勝に進出。『女芸人No.1決定戦 THE W』では2018年に準優勝。また、2023年冬に開催された『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』にて優勝。プライベートでは2017年に一般男性と結婚、3人の子どもを持つ。『夫が寝たあとに』(テレビ朝日)では藤本美貴とダブルMCを務める。横澤夏子の三姉妹の母として奮闘する日々を記した子育てエッセイ『ドタバタ子育て大作戦 三姉妹のれんらくちょう』株式会社オレンジページより発売中。
取材・文/内橋明日香 写真提供/横澤夏子