育児は本当に「壁だらけ」だけど

── 子育てと仕事の両立は大変だと思いますが、仕事のやりがいはどんなことですか。

 

横澤さん:大人としゃべる機会があるということがすごくありがたいです。家でも夫と話せるのですが、仕事で出会う方との会話も楽しいですし、仕事を通して自分が生きてきた人生とは違う世界を見せてもらえます。

 

横澤夏子さんとお子さん
お子さんとイルミネーションを楽しむ横澤夏子さん

私は何かに一点集中しがちなところがあるので、仕事があってよかったと本当に思うんです。社会と繋がりながら情報のインプットもアウトプットもできますし、気分転換にもなります。仕事との両立はできているのかと聞かれたら、いや、なかなかできていないなと思うのですが、試行錯誤しながらやっていますね。「ここまではいいけど、これ以上は仕事と家庭が回っていかなくなる」というバランスのせめぎ合いが常に繰り広げられています。

 

── バランスは難しいですよね。

 

横澤さん:仕事が忙しい日が続くと、次の日まで洗い物が残っていたり、洗濯物がそのままだったりして、「今はうまく生活が回っていないな」と感じることもあります。本当は単独ライブなどもやっていきたいという気持ちはあるのですが、通常の仕事に加えて、「ネタづくりと稽古の時間を隙間時間でやっていく暇は果たしてあるのか?いや、ないぞ」と自分に問いかけているんです。

 

今は無理でも「いちばん下の子が小学校高学年になる、2035年を目標に単独ライブをしたい」という目標を定めて、それまでは準備期間だと思ったら少し心が安定したんです。目標を先延ばしにするだけでこんなに心の持ちようが変わるんだなって。でも先輩ママさんたちから「いや、そのころがいちばん大変だから」と言われて、「じゃあ2040年にしようかな」なんてすでに思っているんですけど(笑)。

 

── 子どもがいくつになっても大変だと聞きますよね。

 

横澤さん:小1の壁のあと、小4の壁もあるそうですし、もう壁だらけじゃないですか!うちは娘3人がそれぞれ、3歳、2歳、0歳のときがあって、そのときはやっぱり大変だったなと思います。今、5歳、3歳、1歳になり、生活リズムも整ってきて、それぞれのキャラクターもわかってきたので、以前に比べると少しは楽になりました。

 

── お子さんたちは横澤さんの仕事ぶりをどうご覧になっていますか。

 

横澤さん:私が爆発しているCMを見て、「お母さんだ〜!」と言ってくれるので気づいてくれてるんだと思いますね。長女と同じ園の子から「テレビに出てたけど、すごい上手だったね〜」と褒めてもらえるのもうれしいです(笑)。

 

── ちょっと上から目線なのがかわいいですね。

 

横澤さん:園のお友達も見てくれていて「テレビで泣いてたね」と声をかけてくれることも多いです。いろんな番組で泣いているので、何の番組だったのかな?と思いながら、「見てくれてありがとうね」と返しています。子どもたちから反応があるのはとてもうれしいです。

 

── ママ友作りのために自分からLINEのIDを配っていたというエピソードがありますが、藤本美貴さんとともにMCをつとめるバラエティ番組『夫が寝たあとに』のトーク内容がママ世代の共感を呼んでいますね。

 

横澤さん:産後1か月がとても孤独で、子どもの1か月検診で自分からLINEのIDを配っていたんです。「いくら配っても減るもんじゃないから!」って。おかげさまで仲良くしているママ友もいます。それに、『夫が寝たあとに』の番組自体が毎回ママ友会をしているような感じですごく楽しいです。

 

俳優やアスリート選手など、さまざまな職業の方がゲストとして来てくださるのですが、子育てという共通のツールを通してみると、「この方と同じ世界線だったんだ」と思えます。どんなにその道でプロフェッショナルな方も、みんな同じところで悩んだりつまずいたりしていて、子育てはやっぱり泥臭いものだということを実感できます。子育ての悩みを誰かと共有できる時間があることはモチベーションになっていて、「今日も帰ったら頑張ろう!」という気持ちにさせてくれる大切な存在です。子どもはひとりでは育ちませんし、母親になって共感がうれしく感じることを改めて実感しています。

 

 

幸せな家庭を築いている横澤さんですが、結婚願望が強かった独身時代は、婚活パーティーに100回以上参加するなど努力を重ねてきたそうです。子育て中の現在、婚活での経験が活きていると感じる場面が多いそうで、婚活は「コミュニケーション能力を鍛えるジム」だと断言する横澤さん。子育てを共にする旦那さんとは、彼氏、彼女だった当時とは違った関係性も生まれているそうです。

 

PROFILE 横澤夏子さん

よこさわ・なつこ。1990年生まれ。新潟県出身のピン芸人。『R-1ぐらんぷり』では2016年から2年連続で決勝に進出。『女芸人No.1決定戦 THE W』では2018年に準優勝。また、2023年冬に開催された『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』にて優勝。プライベートでは2017年に一般男性と結婚、3人の子どもを持つ。『夫が寝たあとに』(テレビ朝日)では藤本美貴とダブルMCを務める。横澤夏子の三姉妹の母として奮闘する日々を記した子育てエッセイ『ドタバタ子育て大作戦 三姉妹のれんらくちょう』株式会社オレンジページより発売中。

 

取材・文/内橋明日香 写真提供/横澤夏子