病気になってホッとしている自分もいる
── 美容整形はもうされないんですか。
中村さん:もうしないですね。私の美容整形の手術をしてくれている高梨院長とは友達なので、よく食事に行くんですよ。それで「顔のたるみが気になるからひきあげてよ」って言ったら、「やせなきゃダメだよ。太った状態でせっかく引っ張り上げてあげても、そこからまたやせたら余計にたるんじゃうから」って。だから一時期ダイエットもしたんですけど、やめました。余命が何十年もあるわけじゃないですからね。
おいしいものを我慢してやせて生きていくのか、食べたいもの食べて、太っても仕方ないと思って生きてくのか、どっちだって言ったら、やっぱりおいしいものを食べたいなと思ったんです。だからもう美容整形もないですね。
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── 今は穏やかな毎日を送っているんですね。
中村さん:たしかにそうですね。女であることを降りて、ちょっと安心したというか、ラクになったっていう感じです。わざと病気になったわけでもないし、神様が病気にさせたとかそんなことを言う気はまったくないですけど、でも本当にちょうどいいタイミングで病気になって、ちょうどいいタイミングで病気を口実に女を降りられたって思ってますね。
PROFILE 中村うさぎさん
なかむら・うさぎ。作家・エッセイスト。著書『ショッピングの女王』『女という病』『私という病』など。2019年に、スティッフパーソン症候群の疑いで入院。現在は、YouTubeやSNSで、日々の出来事を発信。
取材・文/大夏えい 写真提供/中村うさぎ