気象予報士など、メディアで活躍する酒井千佳さんが陶芸のワークショップや作品展示会を行う会社「トウキト」を起業したのは、いまから7年前のこと。本業とまるで違うビジネスをゼロから立ち上げた理由とはいったい── 。(全3回中の2回)
7年前に陶芸の会社を立ち上げた理由
── フリーキャスターで気象予報士の酒井千佳さん。2018年には陶芸の会社「toukito(トウキト)」を設立し、代表を務めています。陶芸の会社を立ち上げようと考えたのはなぜでしょう。
酒井さん:陶芸との出会いはいまから13年前だったと思います。友人に誘われたのがきっかけで、しばらくはゆるっとやっていました。陶芸って作るのも楽しいし、作った作品を使うのも楽しい。当初は趣味としてずっと続けていくつもりでした。

けれど、メディアのお仕事を続けていくうちに、キャスターとは違う形で自分から何か仕掛ける仕事をしてみたいという気持ちが芽生えてきて。キャスターは求められるものにこたえていくのが仕事ですが、それ以外のフィールドで何かを自分から発信してみたいと思ったんです。陶芸は「難しそう」「とっつきにくそう」と、思われがち。私自身、陶芸が好きなのはもちろんですが、陶芸のよさを知らない人がまだまだ多いなと感じていたので、じゃあ陶芸の会社を作ろうと思ったのが始まりでした。
── 事業内容は陶芸教室の運営をはじめ、陶器の販売、陶芸イベントの開催、プロデュースと、かなり多岐にわたっています。
酒井さん:最初にもお伝えしましたが、陶芸は「使う」楽しみと「作る」楽しみの2つがあると思っていて。まずは作る楽しみを知ってほしい。ただ、作るのに時間がかかったり、身近に窯がなかったり、陶芸が気軽なイメージがないと思うので、教室やワークショップを開いて、作品を作る場を設けました。
さらには陶芸をするだけでなく、料理教室や和菓子教室などいろいろコラボもしています。みんなで器を作るところから始めて、それを使って料理や和菓子をいただくイベントです。使う楽しみの方では、私自身や陶芸家さんの作った作品の販売やイベントを展開しています。

最近は、子どもと一緒に作る親子教室にも力を入れるようになりました。自分が子育てをしていく中で、子どもの好奇心を育むためには、やはり何事も体験することはすごく大事だなと感じています。陶芸はそのまま物が残るので、日常で使っていける。物を大切にすることにもつながってくる。実際、4、5歳のころから陶芸教室に通って来てくれているお子さんは、「小学生になってもまだ使っている」と言ってくれています。陶芸っていろいろなことが学べると思うし、子どもにとってもやっぱりすごくいいですよね。
私もたまに娘と一緒に作ったりもします。上の子はいま4歳で、ようやく作れるようになってきたところ。作れるといってもまだふにゃふにゃで、ちゃんと形にはなってないけれど(笑)。
事務作業もすべて自分で「気になる人にはDMする」
── 楽しそうですね!ただ実際に会社を運営するとなると、知識や人脈作りなど、いろいろ苦労も多そうです。
酒井さん:新しいことを知るのがすごく好きなので、とくに苦労は感じないですね。会社設立の事務作業もすべて自分でやりましたが、すごく楽しかった。人脈作りに関してもそうです。何もコネはなかったけれど、素敵だなと思った陶芸家さんやお料理教室の方がいれば、インスタグラムのアカウントに自分から「一緒にイベントをしませんか?」とDMを送ったりしながら、一人ひとり連絡していって、人とのつながりを広げていきました。
