19歳年上の夫とふたりの子どもたちと暮らすイラストレーター・横峰沙弥香さん。最近、小学生の子どもたちの疑問や悩みに答える夫の発言に、数々の名言が散りばめられていることに気づいたそう。長期休み中に「宿題なんてまとめてやればいいじゃん」と口を尖らせる息子に夫が説いた「大人がそうしない理由」がじつに的を得ていたそうで──。
「計画性どこいった?」宿題を進めるペース問題に悩む母
まとまった休みが続くときに悩ましいのが「宿題を進めるペース」問題。少しずつでもとりあえず毎日なにかしら進めておきたい性格の私は、のんびりペースの子どもたちを見てはジリジリと焦りを覚えてしまうのですが、ここはなるだけ余計なことは言わずに見守りたいところ。
とはいえ、声をかけないならかけないでびっくりするほどなにもしませんので、痺れを切らして遠慮がちに声をかけては、うるさがられてしょんぼりするのを繰り返すことになる。これが母の役割なのか。辛い。
せっかく程よい勉強量でやりきれるボリュームの宿題を出してくれているのだから、同じペースでコツコツ続ければ、計画性も身につくし勉強だって頭に入る。…というのが私の考えなのですが、私とてそれを理解して実行できるようになったのは結構いい歳になってからのこと。
子どもたちにとって宿題は「夏休み中に終わらせて新学期に提出しなければならないモノ」というだけの認識。ならば夏休み後半に焦って終わらせる羽目になったところで、最終的に間に合えばいいのではないか…なんて言い始めた息子に夫がひとこと。
「まあ、ぶっちゃけそうだね」
大人が「毎日コツコツやる」本当の理由は
なにを言うかと目を剥く私を尻目に夫は続けます。シンプルに「提出物」として考えた場合、ちゃんと完成させたものを提出期限内に出すことができれば、それまでの時間配分は自由。それは仕事の締め切りも同じこと。今日できることを明日に回したって、提出日前日に焦って終わらせたって全然構わないのだけれど、自分たち大人には「あえてそれをしない理由」があるのだ…。
毎日同じペースでコツコツ進める意味が、若いころとは違って「年々いうことを聞かなくなってくる体をカバーするためのセルフマネジメント」的な意味にシフトしてしまっている大人の現実を突然突きつけられた息子。
「じゃあ、宿題やってこようかな」と告げるその眼差しには、労りの色が見えました。非情な現実かもしれませんが、時にはそれを突きつけたほうが響くこともある。
現実見せすぎてついでに私まで被弾しましたが。
PROFILE 横峰沙弥香さん
よこみね・さやか。イラストレーター。長崎県出身、1984年生まれ。2015年、第一子誕生を機に、長男「まめ(愛称)」との日常を絵日記にしてインスタグラムに投稿を開始する。2017年に長女「ゆめこ(愛称)」が誕生。著書に『まめ日記』(かんき出版)、『まめ日和』(光文社)、『ちんちんぼうずのだいぼうけん』(KADOKAWA)、電子書籍『へたのよこずき1・2』(主婦と生活社) などがある。