子どものいない生活への切り替えが難しかった

西田美歩
不妊治療中の様子

── 治療を止めると言ったときの周囲の反応はどうでしたか?

 

西田さん:夫は私の好きにしたらいいと言ってくれました。「35歳だし諦めないで、ほかの病院も行ってみたら」という友人もいましたね。でも、それで考えを変えるようなことはありませんでした。

 

治療を止めてから最初のころは、子どもができない生活をそれまで想像したことがなかったので、気持ちの切り替えが難しかったです。でも実際に治療を止めると、「もう痛い思いをしなくていいんだ」と気持ちがスッと楽になるのを感じました。自分の中でやりきった気持ちも大きく、今の自分を受け入れようと思えたんです。唯一、思うところがあるとすれば、両親、特に母に孫を抱っこさせてあげたかったということでしょうか。でも両親も私の決断については、理解をしてくれました。

 

── 治療を止めてから変わったことはありますか?

 

西田さん:今までは将来的に子どもがいる前提で過ごしていたので、これから夫とふたりでずっと生活をしていくのだと思いました。子どもがいれば、子どもを通して家族の絆が深まったり、子どもがクッションになって夫婦関係がうまくいくこともあるのかなと想像していたのですが…。

 

夫とは仲良しですがふたりで生きていくといくことは想像していなかったので、最初は少しとまどいもありました。でも子どもがいないぶん、お金や時間を自分たちのために好きに使うことができるので、ふたりで健康に好きなことをして生きていければいいかなと今は思います。

 

── 現在は2匹のネコを飼われているそうですね。

 

西田さん:飼い始めたのは不妊治療の途中でした。ずっと飼いたかったので家族が増えて楽しいし、ネコのおかげで夫婦の会話が今まで以上に増えたような気がします。あとはネコを飼ったおかげで夫にネコのお世話に関することをお願いするようになり、今までよりも家事をやってくれるように。これも思いがけず、いい影響でした(笑)。

 

西田美歩と夫
家族の一員、猫の煎と麦と

 

PROFILE 西田美歩さん

にしだ・みほ。1986年、東京都生まれ。2003年に「ミスマガジン2003」の読者特別賞を受賞し、アイドルとしてデビュー。『めざましテレビ』などのリポーターを務める。現在は介護タレントとして、介護職をしながら介護の魅力について広めている。

 

取材・文/酒井明子 写真提供/西田美歩