ナレーターとして活躍する近藤サトさん。プライベートでは2003年に現在の夫と再婚し、翌年授かった長男は今年で20歳を迎えました。夫婦互いを「変人タイプ」と表する近藤さんの家庭関係はちょっと変わっていて ── 。(全4回中の4回)
信用はしているけれど、何かあっても自己責任
── 近藤さんのパートナーとのご関係を伺ってもいいですか。
近藤さん:夫も私もどちらかというと変人タイプで、お互いの仕事や資質をリスペクトし合ってはいますけれど、趣味も金銭感覚も全然合わない。「映画に行こう」ということになっても観たい映画が全然違うから、結局はお互いひとりで観に行くことが多いですね。お互いにやりたいことをやっているので、今年20歳になる息子に対しても基本的には本人の意思を尊重しています。信用はしているけれど、何があっても自己責任。「あとはお好きに」という感じです。
ただ、子育てはわからないものですね。私も夫も「早く実家を出て、ひとり立ちしたい」というタイプだったのですが、息子は大学生になっても「家から通いたい」と言って、往復3時間かけて大学に通っているんですよ。大学の近くにある寮を勧めてみたこともあるですけれど。
── 縛られたり強制されたりしないから、居心地がいいんでしょうか。
近藤さん:そうかもしれないですね。自由は約束されているし、ご飯はあるし(笑)。息子は私たちを反面教師にしていて、夫や私のような仕事には就きたくないと言っています。「あなたたちがいる業界は、努力だけではどうにもならない、人とは違う、真似できない才能みたいなものが作用している。自分にはそんな世界に行く素質もないし、気力もない」と。おっしゃる通りです(笑)。
── 自己分析ができていらっしゃる!
近藤さん:息子は小学校から大学までエスカレーター式の学校に通っていたんです。そのほうが親もラクだし、「このまま大学まで行ってもらえたら、親は自分たちの好きなことができるぞ!」と思っていたんですよね。そのことに息子が途中で気づきまして。大学受験をして、自力で外へ出ました。ほかに勉強したいこともあったし、彼なりに「ほかの世界も見てみたい」という気持ちがあったようです。親に入れられた学校でいい友達も思い出もたくさんできたけれど、「ここにずっといるのは自分にとってどうなのかな」と考えたらしくて。完全に親の目論見を読まれたというか、「バレましたか!」という感じでしたね(笑)。