お酒の場は「個人の自由」
── お酒を飲みながら職場の人と話す、いわゆる飲みニケーションが是か否かに関する話題がたびたび上がりますね。
せんちゃんさん:若いお客さんに「今の子でも飲みに来るんだね」って話をすると、「いや、よく言われますけど、飲む人は飲むんですよ」と。だから来てくれているんでしょうけどね。
若者も飲む人は一定層いるんだというのが実感としてあります。それに、お客さんを見ていると、若い方より、上司さんの方が気にしているのが伝わってきます。「そんなに強くは聞けないし、どういうふうに誘えばいいんだろう」と悩んでいるようですね。話を聞いていると、若者で飲みの場に来る人は、純粋にお酒が好きということもありますけど、上司と話したい、こういう場でこそ話せるからチャンスだとか、向上心がある印象も個人的にはあります。でもそれも、普段からコミュニケーションが取れていたら問題ないんでしょうけどね。
小野まじめさん:人によってだとは思いますけど、飲まない人の割合が増えたというより、仕事が終わってまで職場の人と飲むのが嫌だとか、飲みの場が苦手だというのが、昔より言いやすい世の中になってきたんでしょうね。
せんちゃんさん:本当、それはあるね。
小野まじめさん:僕はまったくお酒が飲めないんです。一緒にいる人がお酒を飲むのと同じ量のソフトドリンクを僕は飲むんですけど。僕らの時代は、やっぱり飲み会はつき合いのひとつで、無理やり飲まされる風潮がまだありましたよね。それがきついという人もいたし、先輩でも「飲まない人がいると気を使うんだよな」っていう人もいました。「小野ちゃんって、飲まないのに飲みの場が嫌だって思わないなんて珍しいタイプだよね」とも言われていましたね。
せんちゃんの知り合いともご飯に行きますけど、そこで飲むのはせんちゃんだけってことも結構あるもんね。今のせんちゃんは気にせずに飲んでますけど、たぶん昔だったら「ひとりで飲むのって寂しいな」っていう気持ちがあったと思う。でも今は飲めなくても飲みの場に行く人も多くなりましたよね。それに、そういう場が苦手なら断ってもいい。自分は飲み会にいてもまったく苦痛ではないですし、人としゃべるのは好きなので行くんですけど。お酒はペースも個人差もありますし、誰と飲むかも含めて、昔より自由な雰囲気になったのは、飲まない側の人間からしてもいいことだと思いますね。
PROFILE クールポコ。さん
2000年11月デビュー。小野まじめ、せんちゃんによるお笑いコンビ。お笑いブームのなか、『エンタの神様』『爆笑レッドカーペット』等で餅つきネタが大ブレイクし、多方面で活躍中。東京・五反田にて「せんbar」をコンビで経営し9年目。
取材・文/内橋明日香 写真提供/クールポコ。