どの業界でも人手不足が叫ばれるなか、アルバイトの応募者が殺到する職場があります。「スタッフの髪色は問わない」など、職場環境の整備を進めて人気を集めているティーカフェチェーンの「ゴンチャ」。大胆な改革を実行してきた理由とは?(全2回中の2回)
赤や紫の髪色のスタッフも
10代、20代の女性を中心に年間約3000万人超が訪れるティーカフェチェーンの「ゴンチャ(貢茶)」。近年、どこの業界でも人手不足が叫ばれますが、ゴンチャの175店舗ではアルバイト希望者が絶えず、高い競争倍率になるほど人気になっています。
「アルバイト募集をかけると、たくさんの方が応募してくれるのは髪の色を自由にするなど、これまで決まっていた職場のルールを見直したからかもしれません」と話すのは、ゴンチャ ジャパン代表の角田淳さん。
角田さんは2021年の社長就任時から全国の店舗を周り、現場の声に耳を傾けて職場環境の整備をスピーディーに進めてきました。なぜ社長みずから現場に足を運ぶのか?また、なぜ髪の毛の色を自由にしたのか?
「ゴンチャが使命とするのは、お茶を通じてお客様にHappiness(幸せ)を届けることです。幸せを届けるのは誰か?店舗の現場で働くスタッフですよね。だからこそ、働きやすい職場環境の整備に努めるのは当然のこと。たとえば、ミッションの実現に対してスタッフの髪の毛の色は無関係ですし、むしろ自由度を高めたほうがスタッフは楽しんで仕事に臨めます。スタッフがハッピーでなければお客様にハッピーを届けられませんから」
ゴンチャでは季節限定商品として巨峰やいちごなど、彩り豊かなフルーツティーがメニューに並びます。登場するドリンクにあわせ、紫や赤など髪色を変えて楽しむスタッフもいるそうです。
「お客様からカラフルな髪色を褒められたと、よく笑顔で話してくれます。うれしくてモチベーションが上がるんでしょう。ただ一方で、お客さまに対する接客態度が悪かったら、派手な髪色をしているのですぐに覚えられてしまう。スタッフにはそういった点も伝え、仕事に対して責任を持つことや、目指す体験価値の重要性についてコミュニケーションを図っています」
クルーからも商品アイデアを募集
加えて、現場の声をもとに、やりがいを生み出す取り組みも開始。全国の店舗で働くスタッフ(クルー)から新商品のアイデアを募り、商品化するプロジェクトです。
「現場からの要望として『商品開発をやってみたい』という声が多く聞かれました。みずからの成長を感じられない職場は、次第におもしろくなくなっていくもの。商品開発へのチャレンジがスタッフの心に火をつけ、モチベーションにつながるのです」
『ゴンチャ クルーチャンピオンシップ2024』と題して実施した企画への応募は約200にも及んだそう。その中で2つのアイデアが実際に商品化され、さらに顧客の投票により王者となったのが『洋梨ベリー ミルクティー/フローズンティー』でした。
「考案したのはゴンチャ イオンモール各務原店のクルー(OG)です。ふつうに過ごしていたらできなかった経験に対する感謝の声が届きました」
こうした楽しく、やりがいある職場を知ってか、ゴンチャのアルバイト求人は応募者が殺到する店舗もあります。ちなみに同社のアルバイトの多くは、もともと顧客として来ていたゴンチャのファンです。