2024年の年間来客数は約3000万人を突破
改革はメニュー刷新や店舗運営だけではありません。前職でサブウェイの日本法人代表を務め、経営難に陥る同社を復活へと導いた角田さん。火種になる社内の問題を次々と消していった経験から、みずから「消防士」と名乗る経営手腕が組織改革でも活かされます。
「就任当時は優秀なメンバーがそろっていながら、チームとしてうまく機能していませんでした。また、メンバー間のコミュニケーションも不十分でしたね。こうした問題を解決すべく、チームビルディングに取り組みました」
角田さんいわく、チームづくりを担うリーダーの役割はサッカーなどチームスポーツのコーチにあたるといいます。有能なコーチは個々の選手の強みを把握し、適したポジションにメンバーを配置する。選手も互いの強みを理解し、相手を活かすプレーを心がける。

「実践したのはメンバーの強みや弱みの見える化です。『ストレングスファインダー』という診断ツールを利用し、メンバーで情報共有するようにしました。個々の弱みは鍛えてもなかなか実を結びません。強みに目を向けた人材登用するからこそ、チームとしての能力が最大限に発揮され、メンバー同士の助け合いも生まれてきます」
先に取り上げたゴンチャの店舗運営もメンバーのチームビルディングも、共通点は強みにフォーカスしたこと。結果、タピオカブーム終焉やコロナ禍でも成長は鈍化せず、売上や店舗の拡大につながりました。ゴンチャの現在の店舗数はタピオカブームのときを上回る175余り。2024年は国内の年間利用者数が初めて約3000万人を突破し、快進撃が続いています。
「ゴンチャは成長過程ですが、売上や店舗数をどんどん増やすことを第一の目標とはしていません。私たちはお茶を通じてHappinessを届けるために、お客様に楽しんでもらえる店づくりやサービスの提供に重点を置いています。今後も体験価値にこだわり、ファンを増やしていきたいです」
PROFILE 角田 淳さん
つのだ・じゅん。ゴンチャ ジャパン代表取締役社長。スポーツや音楽イベントの企画やマネジメントに携わった後、2010年に日本サブウェイに入社。マーケティング、経営企画などを経て、2016年社長に就任。2021年から現職。
取材・文/百瀬康司 写真提供/ゴンチャ ジャパン