42歳で「R-1グランプリ」王者になり、遅咲きのブレイクを果たしたアキラ100%さん。待望の娘さんを授かって、子どもの目に「僕のネタはどうなのか」と考えたことがあるそうで──。(全4回中の4回)
「あんなに泣いているのに、よく起きないね」
── プライベートでは1児の父です。不妊治療をご経験されたそうですね。
アキラ100%さん:同い年の妻と40歳で結婚して、45歳のときに子どもが産まれました。看護師をしている妻は、子どもを持つのは年齢的に難しいかもしれないと思っていたみたいですが、僕は全然知識がなくて。「結婚したら自然に授かるだろう」ぐらいに思っていたんです。妊娠・出産にリミットがあることもよくわかっていませんでした。
結婚したときはお金がなかったので、検査や治療をする余裕はなかったんです。仕事がもらえるようになって不妊治療を始めました。「R-1グランプリ」で優勝してからは、金銭的には余裕ができたのですが、仕事が忙しくなって営業で家を空けることも多くて。まさかこんなにセンシティブな細かい調整が必要だとは思っていませんでした。女性のほうがクリニックへ行く回数も多いから、妻は仕事の調整も大変だったと思います。
最終的には自然に授かりました。「妊娠した」と告げられたときはびっくりしました。うれしかったですね。
帝王切開だったこともあって立ち合いはできませんでしたが、娘が誕生した瞬間はもう…。もちろん赤ちゃんを抱っこしたことも子どもと触れ合ったこともありますけれど、自分の子どもとなると、得も言われぬ初めての気持ちになりました。
── コロナ禍での育児だったのですね。
アキラ100%さん:そうですね。僕も家にいる時間が増えたので、家族で一緒にいられる時間は多かったですね。でも夜、同じ部屋で寝ているのに、赤ちゃんが泣いても僕は全然起きられなくて…。2時間おきに授乳をしたりおむつを替えたりしている妻は、隣でぐうぐう寝ている僕に腹が立ったでしょうね。「あんなに泣いているのに、よく起きないね」と言われました。
妻は子どもの看護をした経験もあるから、おむつ替えも慣れていて早いんですよ。もたもたやっている僕を見て「イーッ」と思うこともあったんじゃないかと思うんですけど、親切に教えてくれました(笑)。心強いですね。ただ妻は知識があるぶん、子どもが不調だといろいろな病気の可能性が浮かんできて、心配しすぎてしまうみたいです。
── アキラ100%さんの存在にホッとされるのでは。
アキラ100%さん:どうかな。「もう少し気をきかせてほしい」と思っているかもしれませんね。
おもちゃ売り場で「今ネタのこと考えてるでしょ」
── 娘さんは今おいくつですか。
アキラ100%:5歳になりました。いつの間にかYouTubeも使いこなしていますし、僕がテレビに出る仕事をしていることはわかっています。丸いお盆状のものを見ると「パパ、これお仕事で使うやつでしょ」と言うんですよ(笑)。円谷プロダクション制作の最新の特撮テレビドラマ『ウルトラマンアーク』に出演させてもらったときも、娘と一緒に観ました。
娘にとっていちばんの存在はママで、パパは「一緒に遊ぶ友達」みたいな感じなんじゃないかな。娘は公園で走り回るのが好きで、休みの日は家族で公園やプレイパークへよく行きます。クレーンゲームも好きだから一緒にやったり。子どもができると世界が広がりますね。
ただ、子どもとおもちゃ売り場に行っておもちゃを見ていると、つい「ネタに使えないかな」と考えちゃって。妻に「今ネタのこと考えてるでしょ」とよく言われます。
娘の成長とともに、抱っこやおんぶがきつくなってきました。「高い高い」をすると腕がプルプルするようになったので、娘と遊ぶためにも体を鍛えなきゃと思っています。先輩パパやママに「そのうち部活や友達とのつき合いが忙しくなって、遊んでくれなくなるよ」と言われるので、一緒に遊べるうちにたくさん遊びたいですね。
── お子さんの目に「お盆芸」がどう見られるか気になることは…?
アキラ100%さん:それはありますよね。小学校でネタをやらせてもらうと低学年、中学年は喜んでくれるんですけど、5年生ぐらいになるとちょっと違う反応になるんです。思春期を迎える準備が始まる時期ですよね。そのあたりから、僕のネタはどうなのかなと…。娘自身はなんとも思っていなくても、周りの友達に何か言われて恥ずかしくなってしまうということもあるじゃないですか。
だからこそ、子どもたちに喜んでもらえる仕事はありがたいです。もともとお盆のネタは「同世代の人たちが宴会の余興として見てくれるかな」と思っていたんですが、イベントなんかでやらせてもらうと子どもたちも喜んでくれます。子どもたちが笑顔になるのを見るのは僕も楽しいし、うれしいですね。