今日は勤労感謝の日。総務省によると今年9月の全国の就業者数は6814万人で、1年前に比べ27万人増加しています。また女性の就業者数は3108万人で、比較可能な1953年以降、過去最多だということです。
来年4月以降は、企業に対し65歳までの定年引き上げや希望者全員の65歳までの継続雇用制度の導入、定年制の廃止のいずれかが義務づけられています。高齢化と人口減少が進むなかで変わる働き方とは。クルーと呼ばれるアルバイトやパートスタッフに定年を設けておらず、シニア世代の採用をおこなうマクドナルドで、家族3世代で働く山崎さん一家を取材しました。
娘の仕事を見に来たのがきっかけで
静岡県のマクドナルド沓谷店でマネージャーをつとめる山崎友美さん(48)。2016年6月からこちらの店舗で働き始めました。
「特別支援学校を卒業した娘がマクドナルドで働き始めたのですが、娘の仕事中の様子が気になって、ちょくちょく店舗に顔を出していたんです。そこで店長から『一緒に働きませんか』と声をかけてもらったのがきっかけです」
それまで放課後等デイサービスのスタッフとして働いていた山崎さん。支援が必要な子どもたちの学校のお迎えから、親御さんが帰ってくるまでの間のサポートをしていたといいます。店長から仕事の誘いを受けたものの、「この仕事は自分には向いていないだろう」と最初は思ったそうです。
「忙しそうですし、カタカナの横文字も多くて大変そうなので、自分には無理だろうなと思っていたんです。でも、ちょうど転職を考えていたタイミングだったこともあって、とんとん拍子に話が進んで、娘が勤務してからおよそ1年後にこちらで働くことになりました。今はシフトマネージャーという時間帯の責任者をしていて、調理や接客などもします。職場ではみんなから「ママ」と呼ばれています(笑)。娘とは別に暮らしているのですが、職場が一緒なので定期的に元気な顔が見られるのは安心しますね」
娘のすみれさん(28)は、本格的なカフェメニューを提供するマックカフェのバリスタとして店頭に立っています。
「特別支援学校を卒業するときに先生が力になってくださって就職先を探したんですが、いろんな職場に体験に行ったものの、金銭面や仕事内容でなかなか納得いくところが見つかりませんでした。最後にマクドナルドという選択肢が残っていて、これがダメだったらこのあとどうしようという状況でした。就職先が決まってほっとしたのを覚えています。
今はお客さんに喜ばれることが嬉しくて、この仕事をしていてよかったなと思います。笑顔で接客することももちろんですが、ケーキを提供する際にプレートにチョコレートでアートをするので、お客様に楽しんでいただけるよう見た目にもこだわっています。早く自立したいと思っていたのでひとり暮らしも始めました。お給料は家賃や生活費のほか、アニメグッズなどの趣味に使うのも楽しみになっています」
76歳の祖母も加わり親子3世代クルーに
山崎さん親子が働き始めたことをきっかけに、祖母のりつ子さん(76)も2017年10月から店内の清掃などを行うプレミアムエイジ(シニア)クルーとして加わることになったそうです。
「以前は寿司店の洗い場の仕事をしていました。娘から『マックで働いてみたらどう』と言われて、「人と話すことが好きなのでいいかも」と思いました。今は清掃や植栽の手入れの仕事をしていますが、お客様からお言葉をかけていただくこともありますし、小さいお子さんと話すのも楽しいです。同世代の友だちはもう仕事は引退してゆっくりしている人が多いのですが、私はやっぱり外で働いているほうが楽しいです。いろんな方から話を聞けますし、会話もできます。職場で娘と孫と会えるのもいいですね。体が元気で働けるうちはまだまだ頑張りたいと思っています」
マクドナルド広報部によると、現在15歳から96歳までのクルーが働いていて、そのうち60歳以上のプレミアムエイジ(シニア)クルーはおよそ1万2000人だということです。
「クルーに定年はございません。店内は多くのクルーが協力して働いているので、年齢に関わらずスマイル&チームワークで働ける方が向いていると思います。シニア世代を採用する理由は、豊富な人生経験を経ているので、ていねいなサービスやホスピタリティの面で優れていることが挙げられます。また、シニアの方は主婦・主夫クルーや学生クルーが入りにくい早朝の時間帯に入っていただけるので、お店のシフト的にも大変助かっています。人口減少や高齢化が進むなか、生涯を通して働ける環境づくりに努めたいと思っております」
取材・文/内橋明日香 写真提供/マクドナルド広報部