西川のりお師匠の言葉で走り続けることに
── 以来、「走る仕事」が急増しました。
森脇さん:走ることを続けようと思ったのは、西川のりお師匠の言葉がきっかけです。『オールスター感謝祭』で優勝した直後、のりお師匠から「森脇、お前が走るのも立派な芸やぞ。どんどん続けていけ」と言われたんです。番組のなかでギャル曽根ちゃんが、わんこそばの大食い企画をやっていたのですが、それを見ながら師匠はこう続けました。「ギャル曽根は黙って食べ続けているだけでテレビにアップで映ってる。これはほかの誰もマネできない。これこそが芸やで」と。
ようは、ギャル曽根ちゃんが大食いを芸として確立しているように、ぼくも突き抜けるところまでいったら「走る芸人」として立派な芸になるというわけです。だから頑張って走り続けろ、という意味だったんですね。
── 57歳になるいまも、毎日、欠かさず走っていらっしゃるとか。
森脇さん:今日も全力で3キロ走ってきました。毎日走るのは正直しんどいけれど、やっぱり好きなんです。それに、せっかく走る企画やマラソンイベントで呼んでいただいたときに、息が上がって走れなかったり、お腹がどっぷり出ていたりしたら、がっかりさせてしまうじゃないですか。期待を裏切りたくはないですから、いつ呼んでいただいても万全な状態でいられるように、日ごろから練習はしておこうと思っているんです。
── 全国各地のマラソン大会に、ゲストランナーとして招かれることも多いですね。
森脇さん:いまの主な仕事のひとつですね。月2回、多いときは毎週行っています。ぼくの場合、芸人だから開会式でしゃべって盛り上げ、マラソンも走る。こんなに自分にぴったりの仕事はないなと思っているんです。毎年ずっと呼んでいただくマラソン大会もあって、顔なじみのランナーさんたちに会うのも楽しみのひとつ。大阪・三島郡島本町のマラソン大会は、13年連続で参加していますが、300人から始まって、いまでは1000人規模の大会に。当時は新婚だったご夫婦のランナーが、いま小学生3年生の子どもを連れて参加していたり、「キミがお腹にいるときから知ってんねんで」と、やりとりしたり。いろんなドラマに立ち会えるのも、マラソンを続けてきたおかげですね。
PROFILE 森脇健児さん
もりわき・けんじ。1967年、大阪府生まれ。京都・洛南高校時代には陸上でインターハイ出場。高校在学中に芸能界入り。1990年代には『笑っていいとも!』『夢がMORI MORI』などの人気番組に多数出演。TBS『オールスター感謝祭』の人気企画「赤坂5丁目ミニマラソン」には2003年から連続出場。YouTube『やる気!元気!森脇チャンネル』更新中。
取材・文/西尾英子 写真提供/森脇健児