子どもにはいつ伝えたらいいのか
── 2010年からブログをスタートし、髪の毛について発信されています。ブログを始めたきっかけはありましたか?
memeさん:ほかの方が脱毛症について発信しているブログを読んだとき、私も髪の毛について発信してみようと思ったのがきっかけです。私は生まれつき今の髪の毛なので、途中から髪の毛が抜けたとか、悩みを抱えたわけではないので、ショックの大きさは全然違うかもしれません。私のブログはいままでいろいろあったけれど、髪の毛でそんなに悩まなくてもいいんじゃないかって、前向きな発信ができたらいいなと思って始めました。
── ブログを発信していかがでしたか。
memeさん:髪の毛で悩んでいる人がこんなに多いんだと知ったし、私が抱えているであろう、先天性乏毛症(せんてんせいぼうもうしょう)もブログを始めたことで知ったんです。中学生のときにクリニックを受診したときは「びまん性脱毛症」と診断がつきましたが、ブログで発信していくと「先天性乏毛症」じゃないかと何人かから意見が届き、今は確定されたわけではないですが、自分でも先天性乏毛症だと捉えています。
── 2016年に先天性縮毛症や乏毛症の当事者、家族を支援する団体として「冠花(かんな)の会」の会を立ちあげました。
memeさん:自分が今まで悩んできたように、当事者やご家族で交流の場を持ちながら、情報発信も行えたらいいなと思いました。また、治療薬研究の発展に向けて、研究者の先生方と当事者・ご家族をつなぐ役割も担えたらと。
── どんな話題がよく出ますか?
memeさん:親御さんが悩んでいる話が多いですね。どの時期に、どういうふうに子どもに話したらいいのかわからない。小学校にあがるタイミングで学校や友達にどのように話すと学校生活がスムーズなのか。ウィッグに切り替えるタイミングはいつか。髪の毛の量はあるけど、縮毛矯正どうしたらいいのか。このあたりはよくあがってくる質問ですね。
── 今後の活動についてどんなことを思っていますか?
memeさん:乏毛症だけをサポートしたいわけではなくて、髪の悩みを持っている人たちがより生きやすくなるとか、自分も受け入れやすくなるような活動がしたいですね。NPO法人ASPJという髪の毛に症状を持つすべての当事者のために活動する団体の理事も務めています。一緒に協力して、社会の価値観を変革したり、子どもが小さいときからヘアロスに関する知識をもっと広げていきたいと思っています。9月はヘアロス啓発月間として毎年SNS上やリアルイベントを実施し、世間へヘアロスへの理解を広める活動もしています。
この髪でもいいし、帽子、ウィッグでもいいし、自由に選択できるんだよということを伝えていきたいですね。
PROFILE memeさん
めめ。先天性縮毛症/乏毛症ネットワーク冠花(かんな)の会の代表。中学3年生のときに「びまん性脱毛症」として治療を受ける。その後ブログで自身の症状について発信する中で「先天性乏毛症」を知り、自身もそうではないかと考えるようになった。 NPO法人Alopecia Style Project Japan(ASPJ)の理事も務めている。 。
取材・文/松永怜 写真提供/meme 撮影/Yuka Uemura