「髪が伸びたら告白しよう」願掛けのように日記に綴った

── 幼稚園の年長さんのときに病院を受診されたそうですね。

 

memeさん:大きな病院で1度診てもらいましたが、「中学生になったら生えてくるよ」と言われて診断名はつきませんでした。自分でも「そうか。そんなに気にしなくていいんだ」と思って。実際、中学生になったら少しは濃くはなってきたような気はしたんです。でも、みんなと同じような髪の毛になるのかと期待していたらほど遠かった。姉のヘアアイロンをこっそり使って伸ばしてみましたが、縮毛は全然ストレートにならず。こめかみやうなじなど、生え際が薄くて全然増えませんでした。

 

中学1年生のときに「このクラス、異端児が多いよね」といった会話が聞こえてきたことがあって、自分もその中のひとりなのかなと思いました。当時は髪の毛について誰にも相談しなかったし、髪の毛に限らず、思ったことはすべて日記に書いていて。好きな男の子も出来ましたが、自分なんて無理だろうって。でも、「髪の毛が伸びたら好きな人に告白しよう」って願掛けのように書いていたと思います。

 

── いろいろな悩みを抱えるいっぽうで、中学では演劇部や生徒会に入って活躍される一面もあったそうですね。

 

memeさん:見た目は自信がなかったのですが、演劇部に入ったら楽しくて。自分にも徐々に自信がついていくようになると、いろいろやってみたくなったんです。その延長で生徒会もやってみようかな、どうせやるなら生徒会長もやってみようと立候補しました。中学2年生になるくらいから、学校生活も楽しめるようになっていったと思います。

 

── 中学3年生の終わりころに新たなクリニックに行って、そこで「びまん性脱毛症」と言われたそうですね。

 

memeさん:はっきり「脱毛症」と言われたので、これは生やさないといけないやつなんだ、と自覚しました。ただ、今まで病気とは認識していなかったぶん、自信がなくなったのもたしかです。ここからしばらくクリニックに通う日々が始まりました。

 

PROFILE meme さん

めめ。先天性縮毛症/乏毛症ネットワーク冠花(かんな)の会の代表。中学3年生のときに「びまん性脱毛症」として治療を受ける。その後ブログで自身の症状について発信する中で「先天性乏毛症」を知り、自身もそうではないかと考えるようになった。 NPO法人Alopecia Style Project Japan(ASPJ)の理事も務めている。

 

取材・文/松永怜 写真提供/meme 撮影/Yuka Uemura