「みんながチラチラ見ているのがわかるんです」。子どものころから髪の毛の量が少なく広がっていたと語るmemeさん。中学3年のときにクリニックで「脱毛症」の診断を受けるまで、多感な子ども時代は葛藤の連続だったと言います。(全3回中の1回)  

「爆発頭!」と学校で男子にからかわれ

チバフリ2020 tenboファッションショーにて(撮影/yuka uemura)

── 中学3年生のときにクリニックで「びまん性脱毛症」と診断がつき、数年後には遺伝子疾患である「先天性乏毛症」(せんてんせいぼうもうしょう)ではないかと情報が集まったとのこと。まず、髪の毛について意識したのはいつくらいからですか?

 

memeさん:3歳くらいかな。髪の毛が薄くて地肌が見える。髪質も柔らかく、くるくるとした縮毛でフワッと広がっている。当時から人と違った髪の毛だったんだと思います。私が幼稚園に入ったとき、みんなは4月に入園していましたが、私は9月から入園したこともあって、すでにコミュニティができている中にポツンと入ることになったんです。幼稚園に行くと「なんか変な髪…!」と言われたことは今でも鮮明に覚えていていますね。穴があったら入りたい。子どもながら、他者との違いをすごく感じてしまったような気がしました。

 

── 小学校に入るといかがでしたか?つらい思いをするようなことはありましたか?

 

memeさん:特にイジメられた記憶はないですが、縮毛で髪がボワって広がっていたので「爆発頭!」って男子にからかわれたし、何かしらで言い合いになると「ハゲ!」って言われるんです。私もその場で言い返すか、「帰りの会」で意見がある人がいれば言えるコーナーがあったので、そこでかなり言ってました。わりと意見は言えちゃう方だったので、男子に嫌われていただろうなって思いますけど(笑)。

 

── 小学生のころは、髪の毛についてどのように理解していましたか?

 

memeさん:母には生まれつきだと言われていたし、脱毛とか乏毛症という言葉も知らなくて、病気といった認識もなかったです。ただ、街でも知らない人が私のことをチラチラ見ているのがわかったし、学校でもそう。髪の毛のことで注目されるたびに恥ずかしい思いをしていました。しかも、クラス内ではまだしも、教室以外の掃除当番になるとまた目立つ。「え?あの子…」ってコソって言われるのがすごく苦痛で、それを聞いた先生が「そういうこと言っちゃいけないの」って怒ってくれるんですけど、そのやりとりがわかるのもつらかった。あと、5年生くらいのときかな。お洒落に関心を持ち始めたときに、私も髪の毛のクシを鞄に入れていたんです。それがあるときポロッと床に落ちてしまって、「お前でもそんなの使うんだな」って男子に言われたときは、失礼だなって思いましたね。

 

私もほかの女の子のようにサラサラで長い髪の毛になりたい。そう、毎日憧れました。見た目を気にせずに過ごしたいって。でも、自分の姿を鏡で見ると髪が薄いし、地肌が見える。どうしてだろうと思いながら、「次の日になったら髪の毛が生えてきますように」って毎晩のように願ってました。